やさしい企業会計 Vol.15 企業の3つの資産。流動資産・固定資産・繰延資産とは?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
貸借対照表の発想を持つことができれば、資金的なバランスのよい経営のために役立てることができるでしょう。 そこで資金的なバランスを考えるために、今回は貸借対照表の具体的な内容について、資産とは何かを見ていくことにしましょう。

資産とは

 資産とは、会社の有している財産や、会社が利益を得るために利用できる権利などをいいます。企業はその資産を利用して儲けていくというわけです。
 具体的には、企業は、集めたお金(現金や預金)で商品を仕入れ(製造業では材料を仕入れて製造し)、それを販売する、ということを繰り返して利益を得ることになります。すなわち、商品とお金を循環させるのです。ちなみに、これを正常営業循環といいます。

 

流動資産とは

 正常営業循環のなかで発生する資産や、その他1年以内に換金可能な資産を流動資産といいます。販売のために1年を超える期間を要する商品であっても、商品の特性として通常のことであれば、流動資産となります。
 流動資産には、正常営業循環のなかで発生するものとして「現金預金」「売上債権」「棚卸資産」があります。
 「現金預金」とは、金庫のなかにある現金や銀行預金です。
 「売上債権」とは、売上代金のうち、まだ、現金預金として回収されていない分であり、現金預金を受取る権利を意味しています。
 「棚卸資産」とは、売買 するための商品のことです。
 また、その他の流動資産として、余剰資金の運用のために保有する他社の株などを意味する「有価証券」が代表的なものとして挙げられますが、他にもさまざまなものがあります。

 

固定資産とは

 会社が「現金預金―(仕入)→商品―(売上)→売掛金―(回収)→現金預金 ―(仕入)→…」という循環によって利益を得るといっても、商品を売るためには店舗を構えたりパソコンで管理するといった必要があるでしょう。このような、商品の売買をサポートする循環のなかで発生する店舗やパソコンといった資産を固定資産といいます。
 言い換えると、商品を販売するために1年を超えて利用される資産と、満期が決算日の翌日から1年を超える定期預金や長期にわたり保有する目的の有価証券など、1年以内に換金することを想定していない資産だということです。
 固定資産は、「有形固定資産」「無形固定資産」という売上をサポートするものと「投資その他の資産」の3つに分類されます。
 「有形固定資産」とは、土地や建物など会社が利用する資産で物理的に存在しているものであり、「無形固定資産」とは、商標権や特許権など会社が利用する権利などで物理的に存在していないものをいいます。
 「投資その他の資産」とは、資金運用のための定期預金や長期保有の有価証券などをいいます。

 

繰延資産とは

 資産には流動資産、固定資産のほかに「繰延資産」があります。
 繰延資産とは、支出時に一括で費用とすべきものを無理やり貸借対照表に計上したもので、利用することも販売することもできない特別な資産を意味しています。

 例えば、
 ・ 株の発行に関する「株式交付費」
 ・ 社債の発行に関する「社債発行費」
 ・ 会社の設立に関する「創立費」
 ・ 会社の開業に関する「開業費」
 ・ 新しい経営体制を整えるための「開発費」

 といった費用については、その効果が長期にわたって得られることから、繰延資産が認められているのです。ただし、いずれも、原則として費用とすべきとされ、繰延資産とすることも認められているという位置づけになっています。

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