やさしい企業会計 Vol.17 貸借対照表のバランスで会社の安定を見極める

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
貸借対照表の視点を持ち、資産と負債のバランスを考えることで、資金の安定性が確保できているかといった判断ができます。

会社が倒産するとき

 会社は、損益計算書で算定される利益がマイナス、つまり損失であっても、すぐに倒産することはありません。

 一般的に会社は、負債の返済ができなくなったときに倒産します。返済するための貯えもなく、返済するためのお金を借りることもできなくなったとき、破綻するのです。個人とまったく同じですね。そう考えると、会社が経営を続けていけるかどうかは、会社が負債を支払続けることができるかどうかで判断することができることになります。このような返済能力を会社の「安全性」「安定性」といったりします。そして、会社の「安全性」「安定性」は、負債と資産のバランスで判断することができます。なぜなら、負債を上回る資産が存在していれば、究極的には返済できるはずだと考えられるからです。

 なお、負債が資産を上回っている状態を「債務超過」といい、それだけで会社が倒産するということはありませんが、かなり危険な状態であることは間違いありません。

 

流動比率で短期的な安定性を知る

 1年以内の短期的な安定性は、流動資産と流動負債のバランスで考えることができます。1年以内に支払期限が到来する流動負債を、1年以内に換金可能な流動資産が上回っていれば、1年間は会社を存続させることができると判断できるからです。

 なお、「流動資産/流動負債」を「流動比率」といい、100%以上かどうかが安定性の目安になります。100%で安全とは言い切れず、200%は必要だと主張される場合もあります。

 

自己資本比率で長期的な安定性を知る

 長期的な安定性は、固定資産と純資産のバランスで判断したり、資産に占める純資産の割合で考えます。固定資産は1年を超えて利用されるものですから、できるだけ安定した資金である資本によって購入資金を調達できていることが望ましいと考えられるのです。

 また、負債がなければ支払義務は生じないため、負債がゼロなら会社は安定していると考えることもできます。そのため、資産に占める純資産の割合が高ければ高いほど安定していると考えます。この割合、すなわち「純資産/資産(=負債 + 純資産)」を「自己資本比率」といい、安定性の目安になります。

 一般的に、多額の設備を必要としないようなサービス業では自己資本比率が低く、製造業では高くなる傾向があります。上場企業では平均して40~50%といわれています。

 貸借対照表のバランスによって、現在の安定性を見極めることが重要であると同時に、新たなビジネスを展開する場合には、どのような資金を調達しどんな資産を購入すべきか、貸借対照表のバランスの発想を用いて判断するとよいでしょう。

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