Vol.19 自分が建てた建物が、他人の所有物に!?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
中国では、国籍に 関係なく企業や個人が不動産を所有することを禁止しています。その代わりに、土地を使用するための使用権を取得することが可能です。大きく分けて「割り当 て」と「払い下げ」の2種類があるが、選択を間違えると思わぬ事態になるので要注意!

中国不動産制度の移り変わり

 中華人民共和国の成立直後は、不動産の 国有化を目標に土地が集約されました。具体的には、官僚資本や外国資本などからの収用であり、農村においては地主からの土地没収でした。これらは、その後 に個人への再分配が行われ、全人民所有とされました。

 そこから1980年代までは、不動産の公有制の基礎が確立されます。土地の所有権は、全人民 所有の名のもとで国家に帰属する場合と農村地方団体組織に帰属する場合の2種類に規定されました。中国の憲法では、都市部の土地は国家が所有し、農村部の 土地は農村地方団体組織が所有することになっています。

 現在は、土地の公有制は基本的に維持されながらも、農地の使用権は、農民に与えら れ、都市部の使用権は、有償譲渡することができるようになりました。

 

国有地の「割り当て土地使用権」と「払い下げ土地使用権」の違い

 前述のとおり、個人と企業が都市部の土 地を使用したい場合は、行政割り当てによる使用権、もしくは有償払い下げによる使用権の取得が考えられます。この二つの大きな違いは、当該土地の使用権を 第3者に譲渡、賃貸、または担保提供できるか否かです。「割り当て」だと無償かつ無期限の土地使用が認められていますが、他人へ譲渡や賃貸ができないの で、この点を取得時に考えておかなければ、後で高額の払い下げ金を納付することになるのです!さらに、「割り当て」だと国による突然の収用問題もありま す。使用者の権利はとても不安定な立場になるのです。

 中国で事務所用地、特には工場用地を探している場合、その土地の使用権をまず確認して、適法 に譲渡や賃貸できる物権なのかを必ず確認してください。

 

建物の所 有はOKだが、建物と土地の使用権を分離処分することはできない!

 土地の所有権とは違い、建物の所有は日本と同様に認められています。
つま り、中国の公民である個人と企業は、私有財産として建物の所有が認められています。しかしながら、建物のみを土地と分離して保有や処分はできません。これ は抵当権についても同じです。
都市不動産抵当管理弁法の第31条には、建物の所有権と当該建物が占有する範囲の土地使用権は、同時に譲渡または抵当権が設 定されなければならないとしています。
これに気づかないでいると、他人の土地に建物を建て、当該土地の使用権が第3者に譲渡されてしまった場合、不運にも 自分が建てた建物までが第3者の所有物になってしまうのです。

これを防ぐためには、土地使用権証書建 物所有権証書をかならず確認しましょう(最近では不動産権証書と呼ばれる二つで一つの証明書になっ ていることもあります)。

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