Vol.5「特許情報を利用して競合他社の活動を探ろう」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 企業活動を進めるにあたっては、通常は競合他社が存在します。
 少しでも多くの自社製品・サービスをお客様に購入・利用していただくためには、自社製品が競合他社のものよりも何かしらのメリットがあるものである必要があります。
 そのため、競合他社がどのような製品・サービスを提供しているのか、を調べることは重要なマーケティング活動の一つに位置付けられています。
 今回は競合他社の活動を探るのに、特許情報を活用する方法をご紹介します。

競合他社の活動を探る前にはニーズ分析が必須

 競合他社の動向を探るまえに、まずは想定顧客がどのようなニーズを持っているのか、ということを把握することも必要になってきます。そのためには、顕在化されたニーズだけでなく、潜在的なニーズも把握する必要があります。

 このような調査の際には、調査会社を利用するものから、街頭やネットでのアンケートといったものまで、さまざまな方法が用いられています。このように現在のマーケット状況を調べることを「マーケットイン」アプローチといいます。

 一方で、アメリカのアップル社のようにいきなり製品を出して反応をみるようなやり方もあります。「プロダクトアウト」アプローチといいますが、そもそもユーザーのニーズ顕在化しているならともかく、「こんなモノ・サービスがあればいいな」という潜在的なニーズは、顧客自身もなかなか自覚できません。なので、このようなニーズを聞かれても、「これが欲しい」と顕在化させることはなかなかできません。そんなときに、「こんな便利なものがありますよ」と提示されれば、潜在的なものが一気に顕在化され、ヒットにつながることがあります。アップル社はその典型でしょう。

 ただし、自社の都合だけで製品・サービスを提供しているのではユーザーに受け入れられないのは当然ですから、「プロダクトアウト」アプローチでも顧客視点は欠かせません。

 あなたは、「マーケットイン」と「プロダクトアウト」のどっちのアプローチを優先させていますか?

 

競合・マーケットの現状情報の収集だけで製品・サービスを展開してはいけない理由

 では、競合他社の情報を収集するにあたって、競合他社が展開している製品・サービスの情報を収集するだけでいいのでしょうか?

 情報収集活動は相手のことを知るためにはもちろん必要なことですが、すでにマーケットに出回っているものだけを調査しても十分ではありません。

 どのような製品・サービスを取り扱うか、にもよりますが、通常は、着想から製品化までには多少の時間がかかります。

 そのように自社で準備を進めている間に同じような製品・サービスを競合他社が提供してしまったら、せっかくの苦労や費用が水の泡になりかねません。

 先回りするためには、現状調査だけではなく、競合他社の動向を知る必要があります。
 

特許情報で競合他社の開発状況を調査するとは?

 そのための調査の一つに特許調査があります。

 特許出願をするとその中身は出願から1年半後に公開されます。

 1年半というタイムラグはありますが、競合他社がどのような特許出願をしているのか、つまり、どのような研究開発を行っているのか、ということを調べることができるのです。

 通常、企業の研究開発動向というのは秘密事項なので、外部からなかなか知ることはできません。

 でも、特許調査をすることによって、競合他社がどのような分野にどのような特許出願をしているのか、がわかります。
 しかも、特許権を取得しようと思って特許出願する場合が通常なので、競合他社も力を入れている発明であることが多いです。

 そのようなものを集めてみることで、研究開発動向マップができ、現在製品化されていなくても競合他社が今後製品化する可能性のあるものを把握することができます。
 そこから自社のポジションを決めていくことができます。

 例えば、空調関連の製品を製造販売しているオリオン機械株式会社(http://www.orionkikai.co.jp/)という会社があります。この会社は、経営方針として、感動を呼ぶ製品の開発を目指しており、開発にあたっては、競合他社の特許を必ず調べるようにしているそうです。どんな特許があるのか、どの程度であれば新しい技術になるのか、というレベル感を特許調査で把握しています。

 

すでにマーケットが存在する中での動向調査とは?

 マーケットがすでに存在している場合には、ニーズも顕在化されやすく、「マーケットイン」アプローチが採られることになります。

 また、競合他社も存在しているので、競合調査も対象が明確になります。

 特許調査の際には、競合他社の特許出願の動向だけでなく、参入障壁としてすでにマーケットに存在する競合他社の特許権も調査することになります。

 競合他社から特許侵害と言われないようにするには、障害となる特許権があるのかどうかを見極めることも行います。

新規開拓の場合の動向調査とは?

 一方、新しいマーケットを作る場合には、ニーズも潜在化されていることも多く、「プロダクトアウト」アプローチが採られます。

 実はこのような場合こそ、特許調査が力を発揮します。

 特許調査によって、上述したことだけでなく、例えば、他社がまだ開発もしていないようなニッチな分野を探すこともできます。

 ただ、なぜそこにまだ誰も足を踏み入れていないのか、という理由も考えなければなりません。
 技術的に不可能だからなのか、開発しても顧客に満足してもらえそうにないからなのか、といったことを調査結果から読み取る力が必要です。

 製品・サービス展開にあたっての動向分析の一つの手法として、特許調査という調査方法をぜひ一度ご検討してみてはいかがでしょうか。

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