Vol.12「ビジネスで活かす!-海外で特許権を取得するメリットとは?」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

○世界特許、国際特許の実体とは?

  商品の広告等を見ていると、
「世界特許取得」「国際特許取得済」
といったフレーズに出会うことがあります。

 このようなフレーズに接すると、世界で通用する特許権があるんだ、というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんし、そうでないかもしれません。

 でも、実際には、世界で通用する「世界特許」や「国際特許」というものは存在しません。

 特許権のような知的財産権は、基本的には権利取得した国や地域でのみ通用する権利です(著作権はもともと取得するものではなくほとんどの国や地域で通用する権利です)。

 そのため、海外で特許権を取得したい場合には、まず取得したい国や地域を決め、その国や地域で権利取得の手続きをする必要があります。

 なお、日本人でも基本的には米国や中国などのほとんどの国や地域で権利取得することができます。

○海外で特許権を取得するには?

 海外で特許権を取得するためには、その国で決められた言語で書類を作成して手続きをする必要があります。そのため、特許権を取得したい国や地域のそれぞれの言語で翻訳等、出願手続きの準備をしている間に時間が経過してしまい、誰かが先に出願してしまったり、発明内容が公開されたりして新規性がなくなってしまうかもしれません。

 そこで、一回の手続きで各国への出願手続きができる制度として、特許協力条約(PCT : Patent Cooperation Treaty)に基づく国際出願制度があります。

 いわゆるPCT出願と呼ばれるものですが、この制度を使うと、PCT加盟国であるすべての国に同時に出願したことと同じ効果が得られます。

 その後、一定期間内に権利取得したい国に対して翻訳等の準備をして手続きを進めればよいことになっています。

○海外で特許権を取得するメリットとは?

 海外で特許権を取得するメリットとしてどのようなものがあるのでしょうか。

 海外だからといって、国内の場合と異なることはなく、日本国内での特許権取得のメリットと変わりません。

 特許権を取得することによって、基本的にはその特許発明を自由に実施できますので、その国での製造・販売活動がしやすくなります。また、模倣品が現れたときには、権利を使って排除を試みることもできます。

 さらに、自社が直接海外へ進出しなくても、その国における製造・販売のパートナーが見つかれば、その会社にライセンスして製造・販売をしてもらうようにすることもできます。

○海外での特許権取得を検討するタイミングとは?

  特許出願は海外であっても製品を発表したり販売したりする前に行わなければなりません。製品が売れてきたからでは間に合いません。

 では、いつ海外での特許権取得を検討すべきなのでしょうか。  一つは、将来、その国での製造又は販売を行う必要があると判断したときです。
 PCT出願制度を利用すれば、出願時に国を特定しなくてもすみますので、漠然とした状態でも構いません。ただ、海外でも企業活動するのであれば、検討すべきです。

 次に、将来、模倣品の出現が確実視できると判断したときです。

 模倣品は海外で製造されて日本に輸入され国内に出回る可能性が高いので、まずは国内での権利をしっかり取得して水際で食い止める必要がありますが、限度もあります。

 そのような場合には元から断つということも必要になります。

 ただ、何れの場合も費用対効果をしっかりと検討すべきです。

   海外での権利取得となると、翻訳代や現地代理人の手数料等、国内で特許権を取得するときよりも費用がかかります。

 それだけの費用を払ってでも得られるメリットのほうが大きいのかどうか、を判断することになります。

 なお、日本国内で製造販売してみて様子を見てから海外出願することも場合によっては可能です。日本国内で特許出願をしてから同じ内容で海外出願やPCT出願をすることができるからです。

 日本国内の特許出願から1年以内に出願しなければならない、という時間的な制約はあるものの、費用対効果を高める上では効果があります。

○海外で特許権を取得・維持するために必要な心構えとは?

 国によって、特許権が成立するための基準や審査内容が少しずつ異なります。でも、すでに新規性を失ったり工夫のあとがなかったりする発明では、特許権を取得することができない点は共通します。

 特許権取得のためには、このような発明でむやみに出願することは慎むべきですし、権利取得できるような内容を心がけて出願することになります。

 次に、権利取得できたらそのままにしないことです。

 日本国内でも特許権を取得したものの、そのままほったらかし、というもったいない例もございます。でも、海外の場合には取得費用が高いので、同じようなことは許されないでしょう。

 仮に、自社で実際に特許発明を使った製品の製造・販売を行わない場合には、現地で製造・販売してくれる相手にライセンス等をして活用してもらうことも重要です。

 さらに、その国で模倣品が出た場合には、権利行使することも必要です。

 日本国内にいればその国の実情を知ることは難しいかもしれませんが、代理店がある場合には、現地情報を取得して観察することは可能でしょう。

 グローバル化がますます進む中、国内にとどまらず海外で事業を行う機会も増えてくると思います。  そのときに自分の事業をしっかり守るためにも、海外での取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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