Vol.14「特許の使い分けで成功したQRコードビジネスの収益モデルとは?」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

世界標準となったQRコード。そのビジネスモデル

みなさんは、QRコードをご存じでしょうか。
四角い中に何やら幾何学模様が施されたアレですね。

バーコードは一次元だけですが、QRコードによって、二次元の面の中にさまざまな情報を詰め込むことができるようになりました。このQRコード、印刷するだけなので紙の上だけでなくさまざまなところにも使えます。

例えば、海老煎餅をベースに使用した食べるQRコード「QRえびせん」があることをご存じですか。(http://qr-ebisen.com/pc/index.html

これは食品製造販売の志満秀という会社とインターネットコンテンツ制作のヘルツというベンチャーが行った面白い取り組みです。志満秀の煎餅は、贈答品などで人気だそうですから、このQR煎餅をもらった人は見てビックリすると思います。みんな興味を持ちますよね。思わず気になって、携帯電話などで読み取る方も多いと思います。QRコードを携帯電話などで読み取ると、自動的にWebサイトなどに案内できますから、宣伝として効果的という訳です。

このQRコード、実は日本発の発明です。

1994年にデンソーの開発部門(現在は分離しデンソーウェーブ)が開発しました。
ちなみに、QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

ここで、デンソーがこの新しいQRコードを普及させる際にとった手法は秀逸なビジネスモデルです。

まず、QRコードを規格化して世界標準にしました。
これによって、粗悪品や模倣品の出現を抑えて、QRコードを広めることができます。

そして、デンソーは、規格に則ったものであれば、このQRコードを誰でも使用できるようにオープンにしました。

実際に誰でも無料でQRコードが作れるサイトが公開されていますね。
http://QR.quel.jp/try.php

でも、QRコードを無料で広めるだけでは事業として成立しません。
デンソーの事業の秘密はどこにあるのでしょうか。

それは、QRコードのリーダーです。

デンソーはこのリーダー機器を事業として成立するようにビジネスモデルを組み立てました。

QRコードが普及すれば普及するほど、これを読み取るリーダーも必要になってきます。
リーダーのほうを独占できれば、こちらでの収益も独占することができます。

似たようなビジネスモデル、他にもあります。

米アドビシステムズ社のPDFもそうです。
これも閲覧ソフトは無料で配布されていますが、編集ソフトの正規版は有料ですね。
アドビ社は、編集ソフトで収益を上げるようなビジネスモデルを構築しました。

特許権の取得で独占と協同との使い分けが自由になる

このビジネスモデルには、次の3つのポイントがあります。

1.市場形成を他社にも協力してもらった。

デンソーのような大企業でも、新しい商品・サービスを自社のみで広げるには体力が必要になります。

そこで、QRコードのほうを規格化・標準化した上で、オープンにしました。

いいものは、みんなが使用したいと思います。バーコードよりも情報量を格納できるこの新しいQRコードの市場を立ち上げ、大きくするために、こちらをオープンにして普及を図りました。

2.収益をあげる部分をしっかり自社に残した。

一方、QRコードリーダーのほうは、自社を中心に展開しました。

ただ、QRコードが広まったおかげで、QRコードリーダーを販売しやすかったのではないでしょうか。

QRコードを一見しただけではどんな情報が隠されているのかわからないようにしたこともこのビジネスモデルに貢献しています。

3.どちらも特許権で参入障壁を築いている。

QRコードリーダーはもちろん特許権で保護されていますが、実はQRコードのほうも特許権で保護されています。

デンソーは、QRコードに模倣品や粗悪品、意図しない派生品が出てきたときには、権利行使する、としています。

規格を維持するためにも特許権で参入障壁を築く必要があります。

デンソーがQRコードやQRコードリーダーで見せたような特許権の使いわけが、ビジネスモデルを特許権で守る、という真の使い方になります。

参入障壁を構築できるようにしたからこそ、オープンにしたり独占したりする自由を手に入れることができます。

収益モデルをどう構築して参入障壁をどこに築くか、が重要

QRコードが広まったおかげで、初めてコードリーダーが売れるという仕組みが成立します。
どこで収益を上げるか、といったことだけでなく、この順番を間違えないことも肝心です。

新しい商品・サービスを生み出すことは重要ですが、それだけではビジネスモデルとしては不完全です。

それを誰にどのように提供するのか、収益を上げるには、どのような仕組みがあればいいのか、どういう順番で提供すればいいのか、どこをオープンにすればいいのか、といったことを考えて、ビジネスモデルを構築する必要があります。

新商品・サービスを自社だけで実施することのメリット・デメリット。

起業を考えたときに、環境を顧慮しつつ自分がどのような商品・サービスを誰に提供するのか、を決めることは重要なことだと思います。

このときの考え方としては、次の3つがあります。

1.慣れ親しんだ市場に慣れ親しんだ商品・サービスを提供する。
2.慣れ親しんだ市場に新しい商品・サービスを提供する。
3.慣れ親しんだ商品・サービスを新たな市場に提供する。

もちろん、1つ目であっても競合他社と同じことをしていては成長を望めません。深掘りして何等かの差別化が必要です。

何れにしても、何等かの商品・サービスを思いつき、実際に提供を開始するにあたって、どのように事業を進めていくか、ここでもまた選択肢があります。

1.自社だけが独占して提供する。
2.他社にも協力してもらって提供する。

あなたは、どちらを選択しますか?

せっかく差別化に苦労した商品・サービスです。自社で独占して販売できれば、利益はすべて自社のものです。

一方、起業したてであれば、通常、あなたの会社の認知度はそんなには高くはないと思われます。

広告・宣伝に大金を投入して周知できればいいのですが、そのようにはできない場合、あなたの会社だけでなく、せっかくの商品・サービスもなかなか広められません。
もし、製造や販売、販促等、どこかの部分を手伝ってくれるところがあって、一緒に広めてくれれば、自社だけで広める場合よりも早く大きく市場形成できる可能性があります。

もちろんこの場合、市場から得られる果実は、協力してくれたところと分け合うことになります。

このように、どちらにもメリット・デメリットがあり、一見すると両立しないようにも思えますが、QRコードやPDFのように、うまく両立させたビジネスモデルがあることを覚えておきたいですね。

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