Vol.24 「Apple相手に特許権侵害を訴えた個人を知ってますか? 特許権侵害を発見する方法と、見つけたらまず行うべきこと。」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

○特許権はお飾りではない。宝の持ち腐れにしないためには?

Apple社は自社製品を模倣しているとして、韓国サムスン電子をはじめ、世界中で特許訴訟を展開していることで有名です。

そんな中、逆にApple社に100億円の損害賠償請求をした個人がいます。しかも日本人。

第一審の東京地裁では、その方の損害賠償請求権を認め、Apple社に約3億3600万円の損害賠償金の支払いを命じました。くわしくは以下の裁判所のWebサイトからも確認できます。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20131021111057.pdf

上記のケースでは、特許権者は会社なので訴訟当事者としても会社になっていますが、会社の代表者が発明者であり、実質的には個人の特許権といえるでしょう。

訴訟自体はまだ確定していないので、この先どのようになるかまだわかりません。

でも、特許権の権利者が個人であっても小さな会社であっても、特許権を行使した場合、大会社相手に模倣品の製造販売を差止したり、模倣品の販売によって損害が発生した場合には、その損害を賠償してもらったりすることができます。

今回の訴訟では、特許権の対象となる製品は旧バージョンのものだったため、製造・販売差止請求はなく、損害賠償請求のみでの争いでしたが、特許権を行使したことには変わりありません。

○特許権侵害発見!そのときすべきこととは?

ところで、特許権を侵害している、という事実の見つけ方には大きく3とおりあります。

1つめは、自分たちで市場調査する方法です。
 模倣品を長期間放置することは、自社のブランドや価格戦略に影響を及ぼします。問題が大きくなる前に処理するためには、特許権に絡む商品市場を定期的に調査して早期発見に努めます。

2つめは、取引先からの情報です。
 自社商品よりも格安で市場に出回っている場合には価格について、また、自社製品よりも粗悪な商品が出回っている場合にはクレームとして問い合わせがきます。
 その時点で模倣品が出回っているということに気づく場合があります。

3つめは、たまたま見つける、というものです。
 見つけ方とは言えないかもしれませんが、市場に出回っている模倣品を偶然発見する場合が一番多いかもしれません。

特許権を侵害する会社や人は、侵害の意図の有無にかかわらず、特許権者に侵害していることを知らせることはありませんので、侵害の初期段階で発見することはなかなか難しいものです。

何れの場合であっても、侵害かも、という情報を得たら、その真偽を確認します。

侵害といえるのは、「特許請求の範囲」の「請求項」に記載された内容に当てはまる場合です。そこで、自社の特許権と侵害疑義商品とを対比します。

もし、自社の特許権に当てはまると考えられる場合には、特許権侵害、となるかもしれませんが、いきなり行使するのはお勧めできません。行動する前に、念のため自社の特許権の有効性を確認します。

特許権は期間限定の権利なので、存続期間終了後は権利行使できません。また、特許権が成立した後で瑕疵が発見された場合には、その特許権は初めからなかったものとされてしまう場合があります(特許権無効)。

問題となりそうなものがあれば、問題にならないように手当てをすることもあります。

こうしていよいよ侵害を止めるための行動に移ります。

○準備は周到に、行動はすばやく!

相手は自社の特許権を侵害している、ということを本当に知らない場合もあります。そこで、警告書を作成して相手方へ送付します。

警告書については前回のコラムでも触れましたが、今回は警告書を作成する側となります。

差出人はいきなり弁護士や弁理士名だと相手も身構えてしまう場合もあることから、会社名で出す場合が多いでしょう。

ただ、侵害品が海外からの輸入品の場合には、警告書を送ってもなかなか実効性に乏しい場合もあります。

このような場合には、税関での輸入差止という方法をとることもできます。

偽ブランド品が税関で押収された、というニュースをたまに耳にすることがあるかと思いますが、水際で輸入を食い止めるように公的機関の力を借りるのです。

税関でとりあげてもらうためには、輸入差止申請書を提出してまずは自社の特許権にかかる模倣品を輸入差止の対象品にしてもらう必要があります。

その上で、実際に侵害疑義品が輸入された場合に、特許権の侵害品かどうかの認定手続きが行われます。

ただし、税関で特許権侵害と認めることができないようなものは申請できませんので、あまり複雑な内容の商品や権利内容の場合には難しい場合もあります。

○ビジネスへの影響具合で今後の対応を決める。

そして今度は、特許権の権利者として前回コラムに記載のように模倣品の販売業者との交渉に移っていくことになります。

侵害していない、という回答がくるかもしれませんし、回答そのものがない場合もあります。相手方の対応によって、話し合いによる解決、調停、仲裁といった方法に移ってきます。

場合によっては、訴訟を提起して差止請求や損害賠償請求することになるかもしれません。

ここで、例えば訴訟の際に損害賠償請求する場合、自社の利益率のような社外秘の情報を使用することになりますが、裁判内容は公開が原則なので、このような情報が相手方や第三者に公開されてしまうリスクも考慮します。

ただ、近年は秘密保持の必要のある情報については訴訟の際に開示制限してもらうこともできます。冒頭で紹介した裁判の場合も判決を見ると、ライセンス率や売上高といったものの具体的な数値については伏せられています。

特許権侵害が自社の事業を進めるうえでどのくらいの影響があるかによってさまざまな方法に分かれます。

権利者側としても侵害の事実が判明した時点で早めに専門家に相談してみることがよろしいかと思います。

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