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知的財産
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加藤道幸 氏ベンチャー企業にとってタイセツな、会社名(商号)や商品・サービス名(商標)。法的な課題、考え方、活かし方、守り方など、事例を参考にわかりやすく解説します。 |
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Vol.57 特許が社員の雇用を守る?
会社が保有している特許を目当てに、突然、ある会社がある会社を買収に掛かるようなケースが世界中で頻繁に起きています。人的・技術的な資産として特許が高く評価される一方で、その会社の全体業績が落ち込めば、割安な投資で高い技術を得ることができるわけです。ただし、M&Aされた側の会社の社員とすれば、雇用の不安を抱くことになるわけですが、逆に、重要な特許に関する発明者であれば雇用も守られやすいことになります。今回は、人という目線で、特許を説明したいと思います。
日本ではあまり目にすることはありませんでしたが、特許技術を財産とするベンチャー企業が、大手や中堅企業に買収されるケースが、増えているようです。もちろん、これはベンチャーに限った話ではなく、優れた技術を持ちながら、経営が立ち行かなくなった中堅・大手企業が買収されるケースもあります。たとえば、エステーとアース製薬のフマキラー争奪戦の裏側にも、同じような事情があるのではないかと、私自身は見ています。
世界市場をターゲットに技術力で勝負する日本の企業にとって、「会社の争奪戦=技術(特許)の争奪戦」という戦いの構図が、ますます現実味を帯びているわけです。
問題なのは企業の技術力であって、企業規模ではありません。優れた(金銭的に価値の高い)特許を所有する企業であれば、企業の大小に関係なくM&Aのターゲットとなるでしょう。とかく小企業・零細企業の場合、自らの保有技術を過小評価しがちですが、大手企業側は客観的に評価を行っており、もっと自信を持つべきなのです。実際、着付けを意識することなく簡易に着衣ができる着物の特許権を保有していた個人商店である呉服屋さんが、大手織物問屋からM&Aされましたが、地元の信用が一気に高まり業績が飛躍的に上がったケースもありました。
資金繰りが厳しくなったベンチャー企業で、事業の継続が難しくなった場合、何らかの自社保有特許があるのであれば、生き残りをかけた攻撃的な会社の売り込みもひとつの選択肢として検討してみてください。実際に、倒産寸前だったベンチャー企業がある特許を保有していたことで、M&Aにより買い取り先企業の子会社となり、経営者も従業員もそのまま会社に残ることができた、といったケースがありました。また、完全に吸収合併されたものの、そのベンチャー企業の社名がそのまま新規事業部になったケースもあるのです。
つまり、魅力的な特許があれば、資金調達も雇用維持も、両方達せられることだって大いにあるわけです。
とかく特許は、自らの商品を売るための参入障壁として捉えるケースが多いと思いますが、財産権である以上、会社の存続や雇用の維持としても活用できるわけです。特に、ものづくりを生業とするベンチャー企業の経営者は、技術の良さの売り込みができても、会社の経営上の武器として特許を捉え取引することは、苦手だと思います。経営者は、会社の経営にいろいろな不安を抱えつつ、孤軍奮闘していると思います。これからは、その不安に対する保険のひとつとして、特許取得を考えておくべきなのです。



