知的財産:Vol.31 コカ・コーラのビンが商標登録された理由とは?

知的財産
コカ・コーラのビンの形状を立体商標として登録を認めるように求めた裁判の判決が、知財高裁で出されました。高裁は、コカ・コーラのビンには識別力がある旨を判示しています。では、どんな容器でも商標登録可能なのでしょうか?立体商標の中で特に容器の商標登録について説明したいと思います。

そもそも立体商標とは?

 商標法第2条第1項第1号で、『商標」とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合・・・』と定められ、立体的形状も商標の1つとして認められています。とはいえ、日本での立体商標の歴史は比較的浅く、1996年の法改正ではじめて加わったところです。立体商標の商標登録制度で保護される商標としては、例えば、ペコちゃん・ポコちゃんのような、店舗の店頭に置かれ販売する商品をイメージ付ける立体的なマークです。主に、店頭に置かれた人形(立体的なマスコットキャラクター)あたりを念頭に登録がなされているようです。

 

容器の立体商標の登録は難しい?

 まず、単に商品の形状(包装の形状を含む)を普通に用いられる方法で表示するものであっては、他人も日常的に同じ形状を用いて商売をしている場合が多く、特定の会社などに独占権を付与することは好ましくありません。また識別力も十分ではないため登録させるべきではない商標といえます。

 識別力とは、例えば2つの商標が付された商品を消費者が店頭で別々に見た時に、消費者が商標をたよりに商品を購入しようとした場合に、買い間違えないかどうか、というものです。容器の場合、容器としての機能を満たそうとすると、だれが作っても似たような形状になってしまうケースが多いので、識別力を持たせるのは難しいところです。実際、ヤクルトが容器形状で登録を求めて争いましたが、ヤクルト容器の形状は既に似たような形状を他社も普通に用いており、登録は認められませんでした。似たような話は、ひよこ型のお菓子の形状でもありました。もちろん、コカ・コーラのビンの場合は、形状を変えずに長期間販売し、他社製品と区別する機能をもっており立体的形状の識別力は極めて高い、とされて登録すべきということになったわけです。

 

容器+識別力の有る文字

 今回の裁判やヤクルトの事件でも問題になったのですが、ビンの場合には表面に商品名が書かれ、その商品名自体には識別力があるケースがあります。このような場合、容器(表面に何の印刷もされていないもの)だけでは登録は認められなくとも、容器の表面に識別力のある商品名を記載することで登録される場合があります。このケースで勘違いしないでいただきたいのは、容器の形状の権利が認められたのではなく、実際に商標権の対象となる本質的な部分は、識別力のある商品名にすぎない、ということです。

 

識別力についての誤解

 上述しましたが、自社商品としての容器+識別力のある文字といった場合の権利範囲の誤解と似たようなケースが、最近多く見られるような気がします。「識別力のあるマーク+ありふれたキャッチフレーズ」のようなケースです。キャッチフレーズが独占できると勘違いしてキャッチフレーズのみにレジストレーションマークを付けて、キャッチフレーズのみで使用しているのです。この場合、実質的な独占権もありませんし、せっかくの登録も商標の不使用のために取り消される可能性すらあるのです。今一度、商標の使用方法の確認を行ってみてください。