知的財産:Vol.46 薬だけじゃない!! ジェネリックをフル活用しよう。

知的財産
特許権の権利期間を過ぎた薬と同一成分の安価な薬として最近「ジェネリック医薬品」が知られるようになりました。「ジェネリック」とは特許権の権利期間を過ぎたという意味ですが、これは医薬品だけが該当するものでは、ありません。特許権の権利期間が過ぎて、その後、だれもが自由に実施できるようになった技術の活用に関して説明します。

だれも自由に使える発明とは?

 特許は、出願(出願公開)、審査を経て登録、登録料の納付により権利維持、出願から20年が経過し権利期間満了といった流れをたどります。出願後18ヵ月で公開された発明の内容は、これらの流れの中で、最終的にはいずれの発明も、だれもが自由に使ってよい技術へと変遷していきます。一般的に、「だれもが自由に使える特許」とは、

・出願から20年(一部医薬品は最長25年)が経過して権利期間が満了したもの

・権利期間は満了していないが維持料が納付されず権利期間の満了を待たずに権利が消滅したもの

この2つがあります。

 

法律で活用が促されており、遠慮はいらない

 他人の権利であったものを、勝手に使ってしまうことに違和感を覚える方もいらっしゃると思います。しかし、法律では、他人の考えた発明であったとしても、その公開された発明の利用が奨励されています。

 もちろん、他人の権利を侵すような利用は許されませんが、そうでなければ、産業発展に寄与する発明の利用は、特許法の目的とするところなのです。ですから、権利が切れた発明の利用を、遠慮する必要はありません。むしろ、無駄な開発費用の削減や重複研究の排除を考えれば、大切な経済活動なのです。

 

意外に多い権利が切れた技術のつぼみ

 出願から所定の期間が切れた発明のために、古くて今の時代や技術にマッチしていないものが殆どではないかという疑問を持たれる方が多いのではないでしょうか。しかし、実際には、発想が時代を先取りしすぎて、つぼみのまま開花する前に権利期間が過ぎたり、事業化されず放棄される発明は、いくらでもあります。また、20年過ぎても、なお有効な技術もいくらでもあります。つまり、ジェネリック医薬品とは、逆に20年以上が経過し、その安全性や信頼性が確固たるものになったものと言えるのです。

 たとえば、パソコンの画像の形式であるGIFは、かつては特許権で保護され、GIF形式の使用には制限が掛かっていました。それも権利期間が過ぎ、今や自由に、そして積極的に活用されています。GIFを古い技術だと思っている人は居ないと思います。現在、当たり前に使っている技術が、かつては利用に制限が掛かっていたものは、実はいくらでもあります。

 身近なものでは、プルトップ缶の缶の縁が内側に隠れる蓋があげられます。実はこの技術は、ほんの1年前(2008年)まで権利が存続し、ここにきて安全性の高い缶が多く流通するに至っているようです。他にも、店先でコインの数を数えるコインカウンターも、発明当所は偽物ばかりの世界でしたが、今は、改良型も含め様々な形の物がコンビニなどのバックヤードで使用されているようです。

 

技術のつぼみの探し方

 特許庁の特許電子図書館で日本での特許情報が閲覧できます。その特許情報の中から、自分の活用したい技術分野の案件を抽出し、そして、興味を引いた1件1件の履歴を調べていきます。具体的には、個々の案件の経過情報検索(http://www1.ipdl.inpit.go.jp/IPDL /keika.htm)を見て、未請求取り下げ、権利満了等の現在の権利の存続の有無を確認します。

 

注意は怠りなく、そして積極的な活用を

 日本において、だれもが自由に使える発明の探し方を説明しましたが、日本国内で権利が切れていても、海外で権利が存続している発明もあります。もし海外でも利用したい発明に関しては、各国の情報も確認してください。

 また、活用したい発明と同じような時期に、同じ会社から関連の出願がされているケースも多々ありますので、会社名や発明者名で周辺の発明も確認し、関係する発明の権利の存続状況も念のため確認しましょう。なぜならば、関連発明の権利が存続しているケースもあるからです。基礎となる発明の存続期間が切れている場合は、その周辺の発明も使われていない可能性が大きいので、周辺の発明の権利だけが存続しているような場合には、権利者と交渉して周辺の発明も含めて活用できるように、積極的にあたるのも1つの方法です。

 発明の芽を、育て開花させるのも技術者としては大切な責務です。

 ぜひ有効且つ積極的に他人の発明を活用していただきたいと思います。