知的財産:Vol.49 未来のヒット商品の探し方、教えます!!

知的財産
2009年のヒット商品番付の上位には、ハイブリッドカー、キリンフリー、エコポイントといった『生活防衛』『節約消費』『環境保護』がキーポイントになる商品やサービスが並びました。これらの商品やサービスは、目の前のトレンドに乗じて即商品化したものではありません。実際には、過去に開発開始のきっかけがあり、じっくりと時間をかけ、タイミングを計った上で市場に投入されたからこそ、消費者のニーズにマッチしてヒット商品となっているのです。今回は、将来に生じるであろう消費者のニーズを先読みして、いち早く商品開発をスタートさせるための秘訣をお教えします。

今、ヒットしている商品の開発の契機となった出来事とは?

 

 例えば、ハイブリッドカーの開発が加速し、そして注目される契機になったのは、今から12年前の1997年に交わされた京都議定書だと考えられます。なぜならば、この会議が京都で行われたことで、地球温暖化対策の世界的な取り組みのスタートを日本国民に対して強く印象付けた出来事となり、ここから環境問題への興味関心は一気に加速したわけです。とりわけ、CO2排出は家庭生活からのものが大きな割合を占めており、普段乗っている自動車が一番身近で、インパクトが強かったといえます。

 また、キリンフリーを始めとしたアルコール度数0%のビールへの開発ニーズは、どのタイミングで高まったのでしょうか?私は、2006年福岡で起きた飲酒運転が原因で、幼児3人が無くなった交通事故がきっかけではないかと考えます。この事件後、飲酒運転への厳罰化が進みました。もうひとつの要因として、アルコールが飲めない体質の人が、無理矢理飲まされてしまい亡くなってしまったという悲しい事件も挙げられます。

『ビールを飲みたいけど車なので飲めない』『お酒を勧められて飲めないのは申し訳ない』そんなふたつのニーズを一気に解消できる商品だからこそ、

ヒットに繋がったのではないかと思います。

 

商品開発の契機は、何年か前に既に存在する

 ハイブリッドカーにしても、キリンフリーにしても、今でこそ注目を浴びている商品となりましたが、上述したように、開発の契機となるような社会的な出来事が、何年か前に起きているのです。逆に考えれば、今まさにテレビのニュースや新聞紙上を賑わせている事件・事故が、将来のヒット商品を暗示していると言っても過言ではありません。

 

 例えば、昨今、多くの都市で起きている店舗の火災・爆発事故。多くの尊い命が失われている非常にショッキングな事件であり、その対策が急務です。このような火災・爆発の発生防止・消火・避難といった各フェーズで対策を考えると、いろいろな新商品開発の芽があるのではないでしょうか。火災よる停電や煙で周囲が真っ暗になってしまい避難経路がわからなくなった場合に、携帯電話を懐中電灯として使えるようにしたり、煙を吸わないようにインフルエンザ対策で持っているマスクを使えるようにしたり、商品開発のアイデアは、いくらでもあると思います。

 

 また、百貨店や大型スーパーマーケットが相次いで閉店していますが、空き店舗の活用や、空き店舗を活用するための建材等の開発も、今後重要になっていくと思われます。例えば、店舗だったスペースを、フットサル場にしてしまうとか、オープンスペースを複数の事務所として賃貸できるようにする簡単な間仕切りであったり、といろいろあると思います。

さらに、地震・土石流等の自然災害による人的被害・経済的被害が急増しており、あたらめて対策を見直す必要に迫られているのではないでしょうか。またコンビニなどの商品棚の商品の転倒防止対策は意外に進んでおらず、需要はかなりあると思います。

 

政策の動きの中にもヒントが

 また、政策面から考えてみると、2009年の大きな話題と言えば、高速道路の週末低料金化です。この変化に対しては、もうすでに新しいビジネスも進んでいます。最近では、高速利用料を減らすため、週末の高速道路のパーキングエリアに駐車して夜を明かす方が増えています。このことから窓ガラスに貼付する断熱材や、車の窓に付ける網戸の需要が増えているのだとか。高速道路無料化のあかつきには、さらにいろいろな需要が見込まれ、新しい商品の需要が生まれることでしょう。

高速道路の週末低料金化と同じように、ほかの政策の中にも、ビジネスモデルや商品開発の芽が潜んでいます。

 国際的には、地球温暖化の防止を目的に京都議定書に変わる2013年以降の新たな枠組みを話し合うCOP15が開催されました。期間中、新聞やTVでその様子が報道され、地球温暖化防止の世界的な取り組みが今まで以上にクローズアップされています。これは、今まで以上に地球温暖化防止の商品やビジネスが世界中で重要になってくることを、明確に示しています。

 このように、商品開発の芽を探る意味でも、国内外の政治的な取り組みから目を離すことはできないのです。

 

先行的に知的財産権を取得することに意味がある

 そして、将来的な需要を見込んだ商品開発には、先行的、かつ積極的に特許権を始めとする知的財産権の取得を行なう必要があります。単に、将来の独占状態の保持・侵害防止(参入障壁の確立)といった側面だけではなく、その分野での商品開発の取り組みの実績をアピールするという意味でも、また、社会的な課題に時間をかけて取り組んできていることをアピールする意味でも、知的財産獲得に対する取り組みが一段と重要になってくると思います。

 

 今、世の中に生じている "不便""不満""不安"の解決に腰を据えて取り組む企業が、未来の消費者から支持されることは、間違いありません。

大量に流されるニュースを表面的に見るのではなく、その裏側には何が隠れているのか?

未来のヒット商品をつくるためには、それらを常に注意深く観察し続けることです。