Vol.8 少林サッカーを大ヒットへ。映画業界の風雲児に独占インタビュー 前編

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
コンテンツビジネス業界においてもミズモノというイメージが非常に強いのが映画業界だ。私自身IT業界とともに、かれこれこの業界10年近くいるが、外部からのイメージは リスキーに見られがちである。この業界において、さまざまなプレーヤーがいる中で、今回はコンテンツビジネスを熟知している業界のキーパーソンとしてこの人を 紹介したい。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」、「少林サッカー」など、新たなジャンルに切り込み、そして大ヒットへと導いた映画配給会社クロックワー クスを率いる酒匂暢彦社長である。

 

私もコンテンツファンドを運用するモノポール・パートナーズを一 緒に立ち上げたりと、公私ともにお世話になっているのだが、そんな彼にまずはこの質問からぶつけてみた。

「あなたにとってコンテンツとは?」

 そうだね、感情に訴えかけるものかな?平たく言えば、世の中の 人が面白がってくれるものという定義かも知れない。特にクロックワークスが扱うもの は、そういうものが多いよね。深く考えたことはないけど、コメディーだと楽しいとか、ホラーだと怖いとか、サスペンスだとびっくりとか、喜怒哀楽という か、感情に訴える力が強いものが優れたコンテンツであると思う。

 実は彼、映画業界からスタートした人間ではない。コ ンテンツ業界を夢見て入った電機メーカー時代に、地方の端末営業をしたりと社会人としてはかなり地味なスタートをしている。コンテンツビジネスをどうして もしたい!という想いが年々積もる中、転職した先が映画をビデオ流通として扱う会社だった。この時、洋画の買い付けビジネスを初めて味わうこととなる。

「起業にあたって映画を選ばれた理由は?」

 電機メーカーから転職して初めて映画をビジネスとして扱うよう になって、初めて洋画の買い付けビジネスとビデオ流通について学んだ。そこでの経験を 通して徐々にこの業界が見えだしてきたときに、良きパートナーと出会って、このメンバーと一緒だったら、今やっていること以上のことが出来るかも知れない ということで、独立、そして 起業。映画を選んだのは、コンテンツビジネスをしたかったし、私たちが一番知っていた分野だったからだ。

「独立するにあたって、不安はなかったか?」

 今みたいにベンチャーブームなんてものはなかった時代なので、 上場を前提にするとかっていうのは全く考えていなかった。不安はもちろん付きものだけ ど、このメンバーがありきの独立。映画は入りにくい業界とか良く言われるけど、実は参入障壁は低い。許認可制ではないからね、そういう意味では新規参入す ることに全く問題はなかった。

「非業界人は入りにくい業界=映画と思われているが?」

 許認可じゃないとはいえ、入る場所が見当たらないのは確か。私 の場合、ビデオ流通から入ったところが大きかったかも。簡単にいうと買い付けして、税 関が通れば、基本的には流通に回せるという簡単な構造。私たちが当初目指した、配給ビジネスについても映倫なりの自主規制団体を通せば、ある意味、お墨付 きがもらえてビジネスとしてスタート出来るという筋書きがあった。良くコンテンツビジネスについて聞かれるんだけど、コンテンツ業界は参入するのは人が思 うよりも実は結構簡単で、要は入る意志がどれぐらい強いかが重要。ただし、勘違いしないで欲しいのは、成功するのは本当に大変なコトだと思う。参入しやす いとはいえ、大企業、中小企業含めて参入と撤退を繰り返しているのも、映画業界の特徴だ。そういう事実がこの業界のハードルを高く見せていたり、特殊なイ メージをもたせる要因になっているのかも知れない。

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