他者を使って自分を磨く「テイク・オフ」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

出題・解説: 羽根 拓也(アクティブラーニングスクール代表)

http://www.als.co.jp/

起 業家というと、自分の頭で考え、即断し、自分の力だけでやりとげていく一匹狼のようなイメージをもつ方がいらっしゃるかもしれない。実際、起業家は、自分 の力をフルに活用しなければならない。しかし、自分だけの力ですべてを解決していこうとするやり方には限界がある。今回は、他者の力を借りて、短期間で、自 分のアイデアや問題の解決法をブラッシュアップさせていく方法を紹介してみたい。

 

私は教育サービスを提供する会社を経営している。以前、我々の持つ教育サービスを、大学生に対して提供することができないかと考えたことがあった。そんな時、弊社でボランティアをしてくれている大学生より、「就職活動と絡めてはどうか?」というアドバイスをもらった。

日本の大学生の多くは、趣味や遊びに夢中になっており、自分の人生について真剣に考える機会が少ない。だから、「変革の時代に対応できる自己成長力を持とう!」という弊社の高邁な理念を説いても、興味をもってもらえない可能性の方が高いと思っていた。

し かし、就職活動を行う学生なら、自分の人生について真剣に考える立場にある。かつ、採用、不採用を通じて、自分の実力のなさを思い知らされているので、 「自己成長力向上」というキーワードにもピンと来る可能性が高い。そこで、就職活動を行う学生にターゲットに絞った教育サービスを提供してみてはどうか? とアドバイスされたのだ。

結果は、大当たりであった。回を増すごとに、面白いように受講者の数が増えていった。宣伝を行っていないにもかか わらず、口コミでどんどんと広がっていった。半年経った頃には、就職支援を行う団体や企業より講演やセミナーの依頼が入るほどになった。私の頭の中には無 かった「就職活動を切り口にする」という大学生からのアドバイスが、弊社のサービスに大きな広がりを与えてくれることにつながっていった。

教育に関して私は自信がある。しかし、どんなに自信があっても、一個人の頭の中から出てくるものには、限界がある。すべてを自分で考え、やりとげていこうとすれば、行われるビジネスもまた、一面的で深みのないものとなってしまう恐れがある。

できるだけ多くの可能性を探るためには、もっと自分以外の人の情報やアイデアを利用する習慣を持たなければならない。

例 えば、ビジネスのアイデアがひらめいたとする。自分ではすごく良いアイデアだと思ったとしても、すぐに実行に移すのではなく、アイデアをどんどん他の人に ぶつけてみるのだ。他者の頭の中には、自分の頭の中には入っていない情報が多く入っているので、自分では思いもよらないすばらしい何かが生み出される可能 性がある。

アクティブラーニングでは、この手法を「テイク・オフ(=Take O&F)」と呼んでいる。自分の思いを「アウトプット(=Output)」することと、それに対する「フィードバック(=Feedback)」を 繰り返すことで、「思い」の成長を加速化させるというものである。

大 学生についてサービスを提供したいという「思い」を、私は弊社のスタッフに「アウトプット」した。するとスタッフは、自分が持つ情報をもとに、さまざまな 「フィードバック」を返してくれた。一人、二人と別のスタッフに対して、この「テイク・オフ」を繰り返すことで、自分一人では見えなかったものが見えてく る。

私のアウトプットに対して、あるスタッフは「大学のコースとして採用してもらえば?」と言った。別のスタッフは「料金設定を安めにし て、大学生でも来やすい講座を作るのは?」と言った。それらのアイデアを聞いているうちに、大学生自身が自ら進んで受けたいと思えるサービスの提供の仕方 は何なのか?と考えるようになった。

そんな時、ある大学生スタッフが、就職活動のアイデアを提示してくれたのだ。そこで、ピンと来た。「な るほど、就職活動であれば、大学生自身が進んで取り組もうという気持ちになってくれるに違いない!」そう確信し、そのアイデアに実行することにしたのだ。 結果は、前述のとおり大成功であった。

「テイク・オフ」を繰り返すことで、自分のアイデアを成長させていく習慣を持てば、自己成長の速度を加速化させることができる。ぜひ、日々の生活の中で、「テイク・オフ」を繰り返し、自分自身のバージョンアップに務めていただきたい。

 

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 【羽根 拓也 プロフィール】

日 本で塾・予備校の講師を勤めた後、1991年渡米。ペンシルバ大学、ハーバード大学等で語学専任講師として活躍。独自の教授法はアメリカでも高い評価を受 け、94年、ハーバード大学より優秀指導賞(Certificate of Distinction in Teaching)受賞。「知識を与える教育」から、「自己成長力を向上させる教育」こそが、世界に求められていると考え、97年に東京に「アクティブ ラーニングスクール」を開校。これまで日本にはなかった「自己成長力」を育成する教育機関として各界より高い評価を得ている。独自の教育理論えおその指導 方法に、有名企業、政府関係機関、教育機関などより指導依頼が絶えない。

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