行動は最大の防御なり

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

出題・解説:羽根 拓也(アクティブラーニングスクール代表)

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初 めてのことに挑戦するとき、不安が伴う。しかし不安ばかり感じていても何も始まらない。そこで必要になるのは何か?失敗を恐れず一歩前に出ようとする「勇 気」か?次の一歩を緻密に導き出す「分析」か?実は、その両方のキャッチボールこそが、不安を取り除く最良の方法になる。

 

起業・独立の講演をしていて、下記のような相談を受けることがある。

A さん:「ソフトウエア関係の会社を立ち上げたいんです。ソフトウエア作成の経験はそれなりにあります。でも営業の経験がありません。そこが心配なんです。 やっぱり起業するにあたって売れなければ意味がないと思うので、どこかで営業の経験を積んでから起業すべきでしょうか?」

Bさん:「人材 派遣関連のビジネスをやりたいと思っています。三ヵ月後に立ち上げる予定です。経験?ありません。でも全く心配していません。自分はどっちかというと、考 える前に行動してしまうタイプなんです。失敗は恐れていません。失敗すれば失敗したでそれも人生だと思っています。でも、家族の猛反対をくらっています。 自分は絶対の自信があるのに周囲の者がそれについてきてくれない時、どうすればいいんでしょうか?」

上記は、未経験のことに直面した時の、代表的な二つのタイプと言える。

1つ目のタイプは、経験がないことに強い不安を感じるタイプである。行動に移せず悶々と足踏みするタイプと言ってもいい。このタイプの人を「モンモン君」と呼ぶことにしよう。

2つ目のタイプは、経験がなくても全く不安を感じず、逆に喜び勇んで行動にでるタイプである。ただし、考えずに行動するので失敗も多い。このタイプの人を「ガンガン君」と呼んでみることにしよう。

「モ ンモン君」は、不安が苦手である。彼らは常に「安心」を求めている。しかし、起業するにあたって100%の「安心」を得ることは不可能だ。経験したことが ないことをやろうとしているのだから、「不安」は必然的についてくる。「安心」を求める限り、モンモン君は一生、起業へと足を踏み出すことはできない。モ ンモン君にとって必要なことは、何よりもまず「行動する資質」を身に付けることである。

一方、「ガンガン君」は、分析が苦手である。うま くいくかどうかということよりも、とりあえず「行動する」ことに重きをおいているので、分析の必要性すら感じていない。何も考えずに行動するので、見当は ずれなことをしてしまい、実際には目標からどんどん遠ざかるということさえありうる。時には致命的な失敗をしてしまい、取り返しのつかない結果を導いてし まうケースもある。ガンガン君にとって必要なことは、「分析を行える資質」を身に付けることである。

モンモン君に必要な「行動力」、そしてガンガン君に必要な「分析力」。新しいことに挑戦し確実に成果をあげていくためには、実はこの両方のキャッチボールが必要なのだ。

私 の例をあげてみよう。会社をはじめてまだ間もない頃、新聞や雑誌に広告を出すことを考えた。料金を聞いてびっくりである。ある程度目立つ広告を出すために は何百万円の広告費用がかかるというのだ。それだけの額をつぎ込んでもしお客がこなかったらどうしたらいいのか?モンモン君でなくとも不安を感じる。しか し悩んでいても仕方がないと、ガンガン君のようにとりあえず行動に出てみることにした。結果、ガンガン君の悲劇を味わうことになる。つまり、希望する結果 が得られなかったのだ。立ち上げ間もない会社にとって何百万円の損失は致命的である。

しかし、出した広告を分析してみて面白いことに気が 付いた。複数の広告を出したのだが、反応のあった広告となかった広告があったのだ。同じ文面なのに、である。違いは、周囲の広告にあった。周囲の広告が有 名な会社の広告である場合、反応が良かったのに、周囲の広告がどちらかといえば印象の悪い会社や業界の場合、反応が良くなかったのだ。広告には出し方があ る。媒体の選択、時期、デザイン等、広告方法を間違えれば、反応は得られない。逆に、方法を間違えなければ、いくらでも顧客を獲得することができる。その 後、分析の結果をもとに、広告の出し方を変えてみた。とたんに問い合わせが殺到するようになっていった。

ここで大切なことは、「行動から 得られた情報にこそ、必要な答えが隠されている」ということだ。起業など、新しいことに挑戦するときには、特にこのことが重要なポイントになる。何らかの 行動をとれば、必ずその行動の結果が伴ってくる。その結果を分析すれば、次に何をすべきか明確になる。ここにモンモン君にとっての最大の教訓がある。実 は、一歩前に出ることこそが、不安をやわらげる最良の方法になるということだ。しかし、ガンガン君のように、行動のための行動であってはならない。行動の 最大の目的は、行動することそのものにあるのではなく、行動から得られた情報を次に生かすことにある。

結局、すべての分析という行為は、過去の経験から予測をたてたものである。だから、経験がないことに挑戦するときに必要なことは、過去の経験を作るということだ。つまり一歩踏み出すことこそが、最大の防御につながるのだ。「行動は最大の防御」である。

行動と分析のキャッチボール術を身に付けたとき、あなたは全く新しいことにおいても大きな成果をあげられるようになるだろう。

【羽根 拓也 プロフィール】
日 本で塾・予備校の講師を務めた後、1991年渡米。ペンシルバニア大学、ハーバード大学等で語学専任講師として活躍。独自の教授法はアメリカでも高い評価 を受け、94年、ハーバード大学より優秀指導賞(Certificate of Distinction in Teaching)受賞。「知識を与える教育」から、「自己成長力を向上させる教育」こそが、世界に求められていると考え、97年東京に「アクティブラー ニングスクール」開校。これまで日本にはなかった「自己成長力」を育成する教育機関として各界より高い評価を得ている。独自の教育理論とその指導方法に、 有名企業、政府関係機関、教育機関などより指導依頼が絶えない。

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