プレゼンテーションの黄金法則

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

出題・解説:羽根 拓也(アクティブラーニングスクール代表)

http://www.als.co.jp/

前 回、大切なことを覚える秘訣として、「印象」を強める受け取り方を心がけることが重要だと話した。実は、その原理原則は、大切なことを相手に伝えるための 秘訣としても応用することが可能だ。起業後、プレゼンテーションで相手の心をつかみたい時、顧客に自社製品を売り込みたい時、部下に自分の考えをきちんと 伝えたい時、いかに相手の心に「印象」を発生させるかがカギになる。今回は、どんなアウトプットにも役立つ「プレゼンテーションの黄金法則」を説き明かし てみよう。

アクティブラーニングがまだ全くの無名であった頃、マスコミに紹介メールを送ったことがある。初めて 送ったプレスリリースに対して、数時間後に日経新聞の記者さんから問合せがあった。すぐに取材したいと言う申し出であった。取材後に、なぜ興味をもってく れたのか聞いてみた。「通常送られてくるプレスリリースは、かなり大げさなものが多いんですよ。驚異的だとか、日本初だとか、、、。そんななかで、アク ティブラーニングさんのものは、静かで淡々としていたので、逆に興味を持ちました。」

新聞社や雑誌社には毎日、何百通、何千通という 情報が舞い込んでくる。その中で相手に自社サービスの良さを伝えるために、多くの人が大げさな美辞麗句を並べて自己主張しようとしている。しかし、その多 くが失敗に終っている。なぜか?相手を惹き付ける要素が、強さやインパクトであると誤解しているからだ。相手を惹きつけるために必要なものは、「強さ」で はない。「違い」なのだ。それまで頭にあった情報と「違い」が感じられる情報が入ってきた時、聞き手はその情報に注目する。ここにプレゼンテーションの極 意が隠されている。

人間の頭は、受け取った時の「印象」の度合いに応じて、「記憶」を作り出すと前回のコラムでお話した。受け取った 時の「印象」が強ければ頭は記憶を開始し、「印象」が弱ければ記憶しようとしない。これは何人にもあてはまる原理原則だ。この原則をプレゼンテーション時 にあてはめれば、「相手からできるだけ強い印象を引き出せるような提示の仕方」を考えなければならないということになる。

こういうと 「インパクトを与えることが大切だ」ととらえる人がいる。確かに、裸にでもなってプレゼンテーションをすればインパクトがあるだろう。しかし、この方法に は限界がある。強い刺激を与えることで「印象」を引き出そうとすれば、毎回毎回、前回よりも強い刺激を与え続けなければならないからだ。そのやり方では、 遅かれ早かれ越えられない限界にぶちあたることになる。

「印象」は「強さ」で発生しているのではない。それまで頭の中にあった情報と比較 して「差」があるかどうかで発生しているのだ。「強い」か「弱い」かが問題なのではなく「違い」があるかどうかが問題なのだ。前にあった情報と「異なっ た」種類の情報が頭の中に入ってくる時、我々の頭はその情報に注目し、「印象」を発生させる。

「強さ」ではなく、「違い」であるという点に注目してほしい。「強さ」がカギであれば、「弱い」から「強い」にしか動きを見せられないが、「違い」がカギであれば、反対に「強い」から「弱い」への動きであっても印象を生み出すことができる。

こ の原理を利用した面白い実験を行ってみよう。何でも良い。周囲の人に伝えたいことを話しかけてみてほしい。そして話がのってきたところで、急にささやくよ うなか細い声に切り替えてみる。その瞬間に、相手はこちらの話しにぐっと引き付けられるのがわかる。逆もしかりだ。しばらくひそひそ声で話した後、急にも との声にもどしてみてほしい。またしても「変化」が起きた途端に、相手の注意がこちらに注がれることが確認できる。

プレゼンテーション時 に大切なことは、「強さ」ではない。「変化」なのだ。「変化」を生させることができれば、聞き手の脳に「印象」を発生させることができる。うまいプレゼン テーションテーターはこのことを良く知っている。話しの中に次々に変化を起こし、印象を発生させながら、全体の流れを作り上げていく。

こ れらの原理原則を応用した、だれにでも簡単にできる、人を惹きつける話し方のテクニックをお教えしよう。「ブレーク・メソッド」だ。以下のような手順にな る。例えば、部下に大切なことを伝えたい時、話をしている最中に、一番大切なポイントの直前で、声を一度止め、完全なブレーク状態(無音状態)を作り出 す。それから少しだまってから、キーワードをぽつりと話す。

「今、君に足りないものは、、、、(ブレーク)、、、、お客さんの視点なんだよね。」

上記のように、一番伝えたい言葉の前に「間(ま)」を挿入するだけで、驚くほど聞き手の注目を集めることができる。有音から無音へ、そして即座に無音から有音へと戻すことにより、二つの大変化がおきていることが、相手の注意を引き付けられる理由だ。

変化を操ることで、プレゼンテーションを格段に進化させることができるようになる。顧客に商品を売る時、人前で話をする時、どんなプレゼンテーションの時にでも、「変化」をつけることの重要性を忘れないでほしい。

 hane_prof

 【羽根 拓也 プロフィール】

日 本で塾・予備校の講師を勤めた後、1991年渡米。ペンシルバ大学、ハーバード大学等で語学専任講師として活躍。独自の教授法はアメリカでも高い評価を受 け、94年、ハーバード大学より優秀指導賞(Certificate of Distinction in Teaching)受賞。「知識を与える教育」から、「自己成長力を向上させる教育」こそが、世界に求められていると考え、97年に東京に「アクティブ ラーニングスクール」を開校。これまで日本にはなかった「自己成長力」を育成する教育機関として各界より高い評価を得ている。独自の教育理論えおその指導 方法に、有名企業、政府関係機関、教育機関などより指導依頼が絶えない。

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める