資金調達マニュアル 4-3:VC交渉のコツ – 上位1%に入るためには?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

「相手にされない97%」から抜け出し、投資をしてもらえる上位1%に入るにはコツがあります。

1.「優等生ヅラ」をする

VCの観点から投資案件は
・ホームラン案件
・優等生
・ギリギリ
・落第生

というように分類されます。
 


ホームラン案件

IRR(内部収益率)※で100%以上。
1億円投資すれば、5年後に32億円で回収できるような案件です。
 

優等生

IRRで66%。
1億円投資すれば、5年後に12.6億円で回収できるような案件です。
 

ギリギリ案件

IRRで20%。
1億円投資すれば、5年後に2.5億円で回収できるような案件です。
 

落第生

IRRが0%以下。
投資金額以下しか返ってこないような案件です。

※Internal Rate of Return:投資効率を測る指標。
ざっくりと、金利のパーセンテージのようなものと理解してください。
(ExcelにIRRという関数があるので、実務上はExcelで計算できます。)
実際の数式は下記のようなものになります。
計算式: -100+3/(1+r)+3/(1+r)2+3/(1+r)3+103/(1+r)4=0 を満たすr = 3%

VCはLPには、IRR20%-25%以上で運用するように約束しているので、
最低でもギリギリ案件以上になってもらわないと困るのです。

では、ギリギリ案件のIRR20%ラインを目指せばいいかというと、違います。

クラスにはできる子とできない子のバラつきがあるので、
クラスの全体のレベルを引っ張り上げるような優等生になってね。
というのがVCの期待値です。

最近のVCの傾向では、

「5年後に15-19倍で返します」という優等生以上

を目指すことが目安です。

 

2. 「呼び水」を意識する

呼び水とは、最初におカネを出してくれる会社のことです。

誰から口説き落とすべきかということを意識しましょう。

もっとも優先するべきは

事業会社。

具体的な事業シナジーがある会社であれば、売上をつくっていける可能性があるので。

次に優先するべきは、

ビッグネームのエンジェル。

成功した起業家や有名企業家からの出資されている会社は事業成功のニオイがするので。

多くの日系VCは、最初に出資を決断することは稀です。

一部の勝ち組VCを除いて、最初に出資を決断し、リードインベスターとして最大のシェアを確保し、
資金面が苦しくなった時も支える体力と覚悟があるVCは残念ながら少ないのが現状です。

多くのVCは、通称

「ヒラメVC」

と呼ばれ、
誰が出資をするかを横目で見ていて、
「他社が出してはじめて自分も出す」というスタンスが多いのです。

事業会社やビッグネームなど、額面の以上の価値のある資本となるような呼び水を狙いましょう。

 

3.「100億円のExit」を目指す

上場時の時価総額の計算の方法で一番カンタンなのは

時価総額 = 当期利益 × PER(株価収益率)

2008年-2009年にIPOした企業の初値PERの目安は8-15倍。

IPO市場の冷え込みは史上最低レベルなので、日はまた昇ると信じているVCもいるかもしれませんが、
VCの考えるPER前提も同様に8-15倍です。

上場時の時価総額をどのようなロジックで考えるかというと:

経常利益は2億円。 いや、下振れするので

経常利益=5億円。

 

当期利益= 5億円×(1-税金40%) = 3億円

時価総額 = 3億×PER15倍 = 45億円

VCの投資企業が上場する確率は45%(03年~06年実績)とすると

45億円÷45% = 100億円

つまり、
「上場時の時価総額が100億円の企業をつくります」
事業計画を描くのが理想ということです。

ただし、実際には時価総額100億円以上でIPOを達成した企業は
グリーやセブン銀行などのごく一部ですが、投資に値するようなスケールの事業を構想するべきです。

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