介護ビジネスで起業・独立 Vol.10 介護輸送(タクシー)を行うための法的取り扱いについて

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
今回からは、介護 タクシーにまつわるお話しです。 前回までの記事で、介護保険を利用したサービスの提供を行うにあたって必要な事業者指定の人員、設備要件についてお話しをしてきました。しかし、サービス によっては、この人員、設備要件を整えるだけではできないサービスもあります。

通院などのための乗降介助と運送事業

  訪問介護には身体介護、生活援助のほか「乗降介助」と言われる、通院などのための乗車、又は降車の介助する介護報酬の区分(サービスのカテゴリ)があり、 この請求ができる事業所は運送事業の許可を有する事業所に限られています。訪問介護の事業者指定にあたっても乗降介助については、許可を有さないかぎり指 定を受けることはできません。

つまり、許可を持たない事業所は乗降介助を行うことはできません。許可を有せずに乗降介助を行うために運送事 業を行うと道路運送法に違反することになり、介護保険による請求ももちろん行うことはできません。

以上のことについて少しくわしく解説しま しょう。

有償で行う乗客の運送事業は運送事業の許可を取得し、グリーンナンバーの車両を使って、2種免許を有した運転手が運転することに よってのみ行うことができます。これに対して、従来乗降介助の提供を行った場合は、運送事業に対して運賃、報酬を受けていないことから許可が必要ないとす る見解もあったことから利用者の移送、運送事業を無償で行う事業者があったため、現場レベルでの混乱や安全の担保、確保へ課題がありました。また、通所介 護(デイサービス)の事業所がおこなう送迎についても法的な位置づけが明確ではありませんでした。

このため、国土交通省、厚生労働省により 2004年3月16日付けで法的取り扱いの方針が両省連名で示され、あわせて国土交通省からこの許可を取得するにあたっての手続きにおける具体的な通達が 出されました。

 

介護輸送に係る法的取扱いについて

  介護保険では、乗降介助にたいして介護報酬が支払われますが、介護輸送そのものは介護報酬としては評価されていません。

 しかし、この乗降 介助とともに行われる一連の介護輸送は、運送事業として有償で行うものとされました。このため、介護輸送についても許可を受ける必要があります。この有償 の運送は、道路運送法上の許可(一般又は特定)を受けて行うこととなったわけですが、許可の手続きについては従来のタクシー事業者に比較し、簡素化される とともに、NPOなどの非営利事業者についても自家用自動車による有償運送許可が認められました。

 なお、許可については、2006年4月 までには取得するよう猶予期間がもうけられましたが、乗降介助の介護報酬の請求においては多くの都道府県で許可書の確認が行われたようです。

  なお、障がい者を対象とする乗降介助においても上記の方針に準じて取り扱うこととされています。

 

通所介護など施設介護事業者の送迎の取扱い

 通所介護事業者など施設介護事業者が行う要介護者の 送迎の介護輸送は、道路運送法の適用されない自家輸送とされました。この方針が出された当時、通所介護の送迎は加算によって介護請求されていた(事業所へ 支払があった)のですが、有償で行うものとはされませんでした。ただし、自家輸送とされたものの輸送の安全確保の観点から、許可を受けた旅客自動車運送事 業者への委託を促進することとされています。

 

次回は、介護タクシーの位置づけについてもう少しお話しします。

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