起業の心得:ゲンイチ第120回 起業家精神(アントレプレナーシップ)とは

起業の心得

起業家精神については実務家から学者まで、いろんな人がいろんな定義をしています。ここではバブソン大学のティモンズ教授の説を僕なりに定義し直したものをご紹介します。

アントレプレナーシップとは、単なる精神や能力ではなく人間の創造的プロセス全体を指し示す言葉です。ビジョンを確立し、そのビジョン達成のために情熱と確信(自信)をもち、その達成を利害関係者に約束します。まず、ここからアントレプレナーシップはスタートします。次に事業創造のプロセスとは、時として混沌、矛盾、混乱としか見えない起業機会を発見、創造し、同じ起業機会を追及する仲間を集め、組織を作り、自分が持たない起業、そして成長に必要なリソース(資源)を自分たちの周りに集めてくる力、それがアントレプレナーシップです。それには、事業内容だけではなく思いを伝えるコミュニケーションスキルがいります。

事業創造とは一攫千金を狙うものではありません。長期的で継続的な価値創造と分配です。そのためにアントレプレナーはリスクをとります。ただし、常にそのリスクを最小限にすることを怠りません。そして、一番大切な時に資金繰りに失敗しないことが大切です。

次に、このアントレプレナーシップとは、学習して、訓練して、学んで、身に付くものなのか?という問題です。
僕は高校で、大学で、大学院でアントレプレナーシップを実践論として教えています。教えているということは学べるということです。アントレプレナーシップは起業創造のプロセスですが、そこには精神の部分と経営技術・知識の部分があります。後者はマネジメントであったり、マーケティングであったり、ファイナンスであったりします。この部分を教える教育機関は多くあります。MBAもその一つです。次に、それでは起業家マインドという精神は教えることが出来るのか?という問いです。まず、起業家マインドというのは資質か?環境か?スキルか?という議論です。生まれ持ったもの、環境が養ったもの、学習して身につけた能力。起業家マインドとはどこで獲得する精神なのでしょうか?

資質とは遺伝的要素としましょう。次に環境ですが、子供の時の環境は人格の形成に大きく影響しますが、自分で親は選べません。しかし、思春期になると自我が目覚め、自分の人生を自分で決めたくなります。そして、成人し、自立すれば、どんな環境に自分を置くかを自分で決めることができるようになります。つまり、環境にはより資質に近い環境と能力に近い環境があるわけです。

アントレプレナーを目指す人は少なくても自己決定方の生き方を目指す人です。起業家を目指す、社長になりたい、お金持ちになりたい、世の中を変えたい、動機はどうあれ、志を持った時から環境は変わります。何かを始めるのに遅いはというのはありませんが、早ければ早い方がいいに決まっています。資質と子供の頃の環境には届きませんが、それ以後の環境、学習、訓練によって、アントレプレナーシップは育成できると確信しています。