会社を退職するときの注意点

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
起業の準備が整っ ていざ新しいビジネスを始めようとするときは、これまで勤務していた会社を退職することがほとんどだと思いますが、退職する際には、後日にトラブルを生じ させないよう注意すべき事項があります。

いつでも退職できる?

 期間の定めのない雇用契約を締結してい る従業員は14日前までに予告すれば退職することができます。たとえ会社にとって都合が悪い場合でも、会社は従業員の退職の申出を受け入れなければなりま せん。14日間の予告期間は引継ぎのための期間ですから、会社に迷惑をかけないよう業務の引継ぎをきちんとしておくことが必要です。

 な お、一旦受け入れられた退職の申出を後から撤回することは基本的にできませんので、退職の申出は十分に検討した上ですべきでしょう。

 

3年契約・5年契約のルールに要注意!

 期間を定めて会社に雇用されている方の場合、退職が制 限されることがありますので注意を要します。会社は、3年を上限として期間の定めのある雇用契約を締結することができます。ただし、従業員は入社日から1 年以上経過していれば、会社に申し出ることによりいつでも退職することができます。

 また、会社は、①博士号を有する者、税 理士、年収が1075万円以上のシステムエンジニア・デザイナーなどの専門的知識がある者、あるいは②満60歳以上の者との間では5年を上限として期間の 定めのある雇用契約を締結することができます。この場合、これらの契約を締結した従業員は期間途中に契約解消をすることはできません。

 

退職後の競業禁止義務は有効?!

 個人には憲法上職業選択の自由が認められている一方で、企業 にも営業上の秘密・ノウハウや顧客を維持・確保する権利があります。双方の利益バランスをはかる必要が認められることから、過度の競業禁止義務は無効とさ れていますが、期間、業種・職種、場所等を限定し、限定の程度に応じて代償措置が講じられた退職後の競業禁止義務は有効であるとされています。そこで、退 職の際に退職後の競業禁止の誓約書に署名する場合には、よく内容につき確認しておくことが必要です。なお、裁判例では、「同業他社へ転職した場合は退職金 を半額にする」という規定に基づいて、会社が同業他社に転職した退職者に対し一旦支払った退職金の半額を求めた事案において、退職者に対して退職金の半額 の返還を命じたものがあります。

 

身の回りの資料等は持ち出せる?

  フロッピーディスク、筆記用具、メモ用紙、各種資料などはすべて会社の所有物ですから、退職時に持ち出すことはできません。仕事上、取引先の人からもらっ た名刺も会社のものとして考えるべきです。取引先の人の名刺は会社の取引関係の重要な情報だからです。

 

企業秘密を持ち出してはいけない!

 最近では、退職時に退職後における秘密保持義務について契約 書あるいは誓約書に署名することを求められるケースが多くなっていますが、たとえこのような書面がなくても、会社の従業員は誠実義務に基づいて守秘義務を 負っていますので、企業秘密を退職後に第三者に提供したり、自ら利用したりすることはできません。もし、このような行為をした場合、会社から損害賠償請求 を受けたり、企業秘密を守るための法律である不正競争防止法の違反で刑事罰に問われたりする可能性があります。

 

同僚や部下を誘って起業したら?

 勤務していた会社の同僚や部下を誘って同業会社を起業した場 合、会社から損害賠償を求められることがありますので注意を要します。在職中に引抜き行為をすることは誠実義務違反にあたります。また、会社にとって重要 な人材を引抜いたり、あるいは大勢の従業員を引抜いたりして会社にダメージを与えた場合には、不法行為が成立する可能性があり、会社に損害賠償義務を負わ なければならないこともあります。 

 

『立つ鳥あとを濁さず』

  退職時に勤務していた会社と揉めたりすることは、起業後のビジネスにも少なからず悪影響を及ぼすものです。逆に、円満退職できれば、会社での人間関係が起 業後にプラスに働くことも期待できます。せっかくの大事な門出なのですから、十分に配慮して気持ちのよいスタートをきれるように心掛けていただきたいと思 います。

 

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