人材採用に関わる法律問題と注意点

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
現在、新たな会社 法の施行などで、一人でも株式会社を立ち上げることができます。しかし、発展には人材の確保が不可欠です。今回はベンチャー 企業における人材確保とそれに関わる法律問題について考えてみることにします。

起業時の人材確保

 起業して間もないベンチャー企業にとって有用な人材確保の手段は、以前勤めていた会社の同僚や、友人などの人脈を利用することです。このような手 段によるメリットは、採用してからの思い違いが少ないことといえます。しかし、プライベートな関係が会社内に持ち込まれるデメリットも考えられます。

 ただ、起業した人が以前勤務していた会社などの他社から、例えば営業の人材を引き抜いて、その顧客を連れてきてしまうことにより他社に損害を与え たような場合には、法律上、引き抜いた会社が損害賠償義務を負うことがあるので注意が必要です。また、引き抜かれた人自身も、雇用契約上の競業避止義務違 反で損害賠償請求を受けることがありえます。

 この他にも、転職する人が前に勤務していた会社との関係で、その会社の営業関係の情報(顧客 リストや価格表など)や技術関係の情報(研究データなど)を守るべき秘密保持義務が課されることがあり、違反した場合には損害賠償責任が生じます。ベン チャー企業の場合、このような問題が発生し、他社から訴訟などを起こされるとそれだけで、事業が滞ってしまいますので注意しておくべきです。

 

会社成長時の人材確保

 会社規模が大きくなれば、人脈での採用には限界が出てきますので、インターネットや雑誌を使った募集広告が主体になります。募集広告による人材の 確保にあたっては自社の事業にとってどのような人材が必要であるかを明確にすることが大切です。特に、ベンチャー企業は少人数であり、組織の風土や経営者 の考え方に馴染めるかどうかが重要なポイントとなるでしょう。

 人材募集の広告を出す場合には、法律上の問題にも注意する必要があります。例えば、募集広告においては、男性だけを募集したり、男女で異なる条件 をつけて募集したりするようなことは、原則として禁止されています。人材募集の広告を求人誌や求人サイトなどに出す場合、そのような男女雇用機会均等法な どの労働関係の法令における注意事項を教えてくれるのが普通ですが、自社のサイトに求人募集の広告を出す場合には自社で労働関係の法令における注意事項を 確認し、法令違反に注意しなければなりません。

 

株式公開に向けての人材確保

 株式公開を目指す場合には

(1)会社の成長戦略を具体的に実施することができる人材(例えば、営業部門の責任者としての営業部長な ど)

(2)会社の成長にあわせて運営・管理することができる人材(例えば、財務責任者や管理・総務部門などを統括する管理本部長など)

が 必要になります。

 

 このような人材は株式公開には不可欠ですが、労働市場に出てくることは極めて少ないので、採用するためには、いわゆるヘッ ドハンティング会社に依頼せざるをえないのが普通です。ヘッドハンティング会社との間の契約を締結する際には、いくらの報酬を支払うのか(採用できた人の 年収の10%から30%程度が相場のようです)、転職してきた人がすぐに辞めてしまった場合、支払った報酬は返還してもらえるのか、などの基本的条項につ いて事前に確認しておくことが必要です。

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