会社経営に必要な法律 Vol.09 ベンチャー企業向け、赤字でも上場できるジャスダック新市場NEO

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
2007年11月13日、ジャスダックの新市場NEO(ネオ)の第1号銘柄が上場し、注目を集めています。NEOは、成長性のある技術やビジネスモデルをもつベンチャー企業を対象としていることから、今後上場を目指すベンチャー企業にとっては、上場先の選択肢の一つとなります。そこで今回は、新市場NEO を取り上げ、上場を視野に入れる場合にベンチャー企業が注意すべき点について、法的な観点も含めて説明していきましょう。

1. ニュースの概要

 2007年11月13日、ジャスダック証券取引所が新たに開設した新市場NEO(ネオ)の第1号銘柄として、任天堂のゲーム機向けソフトウェアを主力製品とする株式会社ユビキタスが上場しました。報道によれば、上場初日は買い注文が殺到したために初値がつかず、翌日14日、公募価格の4倍になる40万円の初値をつけたとのことで、投資家の注目ぶりが伺えます。

 

2. NEOの概要

 NEOは、ジャスダック証券取引所が、成長可能性のある新技術やビジネスモデルを有する企業を支援することを目的に、新たに設立した市場です。成長性のあるベンチャー企業を対象としていることから、上場審査基準を緩和し、赤字であっても上場を可能とする一方、上場後の情報開示義務を厳しくしています。

 ジャスダック証券取引所 「NEOについて」
http://www.jasdaq.co.jp/list/list_neo1.jsp

上場審査基準には、主に次のような特徴があります。

(1)純資産の額の緩和

(2)株主数の緩和

(3)利益額の基準からの除外

  このため、業績が赤字であっても、上場が可能となります。

(4)技術評価の重視

  NEOは、成長性のある新技術を持つ企業を対象としていることから、上場申請会社から独立した複数の有識者による、技術上の観点からの分析を行った技術評価の結果を示す書類の提出を求めることになっています。そして、その技術評価について、「技術評価アドバイザリー・コミッティー」という、技術評価のための専門機関により審査を行うこととされ、新技術または新たなビジネスモデルの評価に重きを置いています。

 ジャスダック証券取引所 「技術評価手続の概要」
http://www.jasdaq.co.jp/list/list_neo8.jsp

 

また、上場後の情報開示基準には、次のような特徴があります。

(1)マイルストーン開示の義務付け

  従来の情報開示義務に加えて、経営計画・事業計画の進捗状況、その計画の達成または未達成の要因などについても、四半期ごとに開示することが新たに求められます。

(2)投資者への情報提供の強化

  年2回以上の投資者向け説明会の実施や、年4回以上、継続的にホームページ上のIR資料の掲載が求められます。

 

3. ベンチャー企業として

  ベンチャー企業の中でも、特に新技術や新しいビジネスモデルに強みをもつ企業にとって、NEOの設立は、上場の選択肢が広がったという点で、よいニュースといえます。また、上場審査基準が緩和されている点も魅力的です。

  ただし、上で記載したように、上場審査基準が緩和されているといっても、従来から求められている、内部統制の体制整備などの法的側面に関しては、これまでと変わらない水準が要求されている点に注意が必要です。

 とくに、2007年9月30日には、内部統制の整備・報告を要求する金融商品取引法が施行され、2008年4月1日以後に開始する事業年度から適用されることもあり、これまでよりも法的な側面についての審査基準は厳しくなってきています。このため、ベンチャー企業としては、これまでどおりコンプライアンスなどの強化に取り組んでいくことが重要といえます。

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