会社経営に必要な法律 Vol.35 顧客が倒産!とりっぱぐれを防ぐ方法とは?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
2009年1月、北海道の百貨店である丸井今井が、民事再生法の適用を申請したことが報道されました。そこで今回は、このニュースを題材に、倒産手続の一つである民事再生法について説明していきましょう。

1.ニュースの概要

2009年1月29日、北海道の各地で百貨店を展開する丸井今井は、札幌地方裁判所に対し、民事再生法の適用を申請し、開始決定を受けたことを発表しました。報道によれば、負債総額は、500億円を超えるとされており、今後裁判所の監督のもと、再建を目指すことになります。

 

 

 

2.法律上の問題

(1)さまざまな倒産手続

会社が経営破綻(倒産)した場合の法的手続としては、破産手続、民事再生手続、会社更生手続、特別清算手続があり、民事再生はこれらのうちの一つです。

 

これらの手続は、以下のように、会社を清算し、債権者に弁済をして、会社に残る財産を債権者で分け合うことを目的とする「清算型」と、債務を整理した上で会社を存続させて再建を図る「再建型」に分けることができます。

 

清算型:破産手続、特別清算手続

再建型:民事再生手続、会社更生手続

 

いわゆる「倒産」といった場合にイメージされるのは、清算型の手続きですが、実際には再建型の手続きがとられることもよくあります。一口に経営破綻といっても、会社の状況はさまざまであり、資金繰りは悪化しているものの事業自体に収益性が見込めるような場合には、再建型の手続による方が債権者にとっても弁済される額が増え、プラスになることがあるためです。このように、取引先が清算型の倒産手続をとった場合は、債権回収は困難になりますが、再建型の場合には債権回収の可能性があります。そこで、以下では再建型の手続について説明をしていきましょう。

 

(2)民事再生とは

民事再生は、再建型の手続の一つです。民事再生では、経営陣が退任することが必須ではなく、裁判所の監督のもと、会社の財産管理や経営などは従前とおり行うことができるという点が特徴です。これにより、従前からある経営者の人脈などを有効に利用することができるというメリットがあります。また債権者にとっても、会社をすぐに清算してしまうよりも、事業を継続させる方がより多くの債権を回収できることがあります。

 

(3)民事再生の流れ

民事再生手続では、債権者に債務の一部を免除してもらうことなどにより、債務を整理した上で経営を建て直すことになります。これらの具体的な内容は再生計画に盛り込まれ、債権者集会で同意を得る必要があります。申立から再生計画の確定までは、通常5~6ヵ月程度かかります。

 

民事再生手続の一連の流れは、次のようになります。

 

  裁判所への申立

  ↓

  裁判所による開始決定

  ↓

  債権の届出:債権者が自己の債権(「再生債権」といわれます)を届け出ます。このときに届け出ないと、以後、債権の支払いを受けることが困難になります。

  ↓

  財産調査・確保

  ↓

  再生計画案提出

  ↓

  債権者集会での再生計画への同意

  ↓

  裁判所による再生計画の認可

 

3.ベンチャー企業として

 会社を経営していると、取引先の倒産という形で倒産手続に関与することがあります。倒産した場合には、債権の回収が困難になることが通常ですので、可能な限り、事前にこれを避けなければなりません。
そのために必要な判断材料として、下記の3つなどが挙げられます。

・取引を始める段階での相手方の与信調査が必須

・商業登記簿などの書類上の調査

・取引先の評判や会社の雰囲気

 

 

 万が一に備えて、契約時に社長個人の連帯保証をとることも通常行われています。この他、債権額の大きい取引では支払い期間をできるだけ短く設定しておくことも必要でしょう。

 また、取引の継続中にも、取引先の状況に気をつけておかなければなりません。倒産の予兆としては、支払い延期の申し出があった場合などが典型的ですが、これ以外でも例えば、このような場合は注意しましょう。

・社員の大量退職

・急に社長への電話がつながりにくくなった

・取引先のさらに取引先 が倒産した場合

 

相手方の倒産の予兆を感じ取った場合には、

・ 未払い金の支払いを早急に求めること

・可能であれば一回ごとの商品の納入量を少なくする

・新た に連帯保証人をたててもらう

などの対応を早急にとった方が賢明です。

 そして、万が一取引先が倒産してし まった場合には、自社の債権をどのように弁済してもらうかが重要になります。倒産手続において、債権の種類や額によっては、優先的に支払いが受けられるよ うなこともあります。このため、取引先から通知が届いたら、まず、その取引先に対する自社の債権を確定させ、債権を届け出ることが必要になります。

 また、倒産した会社が、いくつかある倒産手続のうち、どの手続をとったかによっても、債権回 収の見込みは異なります。このため、ベンチャー企業の経営者としては、倒産手続としてどのようなものがあるのかということや、それぞれの手続のおおまかな 特徴は知っておくことがよいでしょう。

 

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