小資本でも成功できる!業界No.1ビジネスの作り方 Vol.9 起業後にまず悩むことを知っておく。

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

経営者にとって、起業するまでも大変ですが、創業した後も悩みが尽きません。
大抵のことは、自分が真剣に取り組み、時間をかければ解決することが出来ますが、中には、努力だけではどうにもならないことがあります。

それは、「売上」「資金繰り」「ビジネスパートナー」の3つの問題です。

■売上

まず、「売上」ですが、自分自身が努力して一生懸命に営業すれば解決できるというものではありません。

確かに、営業の専門家には、「世の中売れないものはない!」という風におっしゃる方もいるかもしれません。

しかし、やはり効率というものがあります。
取り扱う商材の性質や、そのターゲットとなるマーケットの規模など、外的な要因が大きく影響します。 しかし、それを創業間もない起業家が判断するのは、かなり難しいと言えます。

ちなみに、優秀な経営者や営業マンは、売上を上げるために効率の良い商材を見極める目を持っています。

創業者はただでさえ忙しいです。
そこで、効率の低い商材を扱ってしまったとしたら・・・時間ばかり浪費してしまい、全く売上に繋がらないという結果に至ってしまいます。
少なくとも創業者は“営業効率”というものを考えるべきだと思います。

ここで、少し“営業”について考えてみます。
どの企業でも、自社の製品を売るために、「営業活動」というものをしますが、その手段は大きく2種類に分けられます。

それは「ニーズを持った人(企業)を見つけること」と「ニーズを創り出すこと」です。

通常の営業は「ニーズを持った人(企業)を見つけること」だと思います。
特徴としては、“ターゲットが明確で、マーケットを見つけやすい”、つまり、営業効率という点でのポイントは「客を探しやすい」ということです。
しかし逆に考えれば、“ライバルが多く存在する”というデメリットがあるとも言えます。

もう1つの手段は、「ニーズを創り出すこと」です。
マーケットがまだ気付いていない用途を創り出すというもので、いわゆる“ブルーオーシャン”になり得る可能性があります。
商品は変わらずとも、新しいニーズを見つけることで、販売を増やすというもので、特徴としては“ターゲットやマーケットを創り出す”ので、「客は探さずとも見つかる」ということになります。
しかし、これは完全な“アイデア勝負”となりますので、「簡単に戦略が作れない」という大きなデメリットがあります。
(個人的にはとても大好きなマーケティングでもありますが。)

1つの例としては、「売れないハサミ」の話が有名です。

元々が”海苔を一度で細かく切る”という目的で、はさみの歯の部分を横に重ねただけの商品を作ったメーカーさんがいました。
「きざみ海苔をさっと作れる」というキャッチコピーで売り出しましたが、消費者には受け入れられず、全く売れませんでした。

せっかく作った商品も在庫が多く残り、どのように処分しようか考えていたところ、“あるアイデア”を思いつき、それを実行したところ、その商品は、それまでがウソのように“バカ売れ”しました。

その”アイデア”とは、「その商品のパッケージだけを変えて、『個人情報を裁断するハサミ』として売り出すこと」です。

電動のシュレッダーは業務用のものが多く、家庭ではコストが高く購入できません。
また、最近多くなってきた手動のシュレッダーでも、そこそこの値段はします。

通常の家庭で、カードの利用明細や公共料金の明細などは、それほど多くは無いけど、いちいちハサミで切り刻むのをとても面倒と感じてしまいます。
そこで、安価に目的を果たすことができる「ハサミ」がお客様のニーズに合い、売れたのでした。

このケースでは、商品は全く変えていません。
しかし、売り方を変えただけで、爆発的な効果を生み出しました。
・・・すごいですよね。

ただ、この戦略にも問題があります。
・ブームになってしまうと飽きられる
・すぐに真似られて、飽和状態になってしまう
というものです。

しかし、そうは言っても、「ライバルと競わなくても良い」、「大きな“付加価値”(高い粗利)を生み出すことが出来る」という点では、創業者にとってとても魅力的な営業戦略であることに変わりありません。
何より、比較的コストが低く抑えられることも嬉しいですね。

“売上”を創るための戦略として、いかに営業効率の高い手段を生むことが出来るか・・・これが事業の継続性を左右すると言っても過言ではありません。

ボク自身の貸会議室ビジネスでも、どうしても“待ち”の営業スタイルになってしまうので、どうやって“機会損失”をしないかということに注力しました。
それが、何度も出てきている「Web戦略×貸会議室予約決済システム」という形になりました。

ビジネス戦略には、それぞれに“向き”、“不向き”が存在します。
いかにこれを見極めるかということがとても重要と言えます。

■資金繰り

次に悩むのは「資金繰り」です。

これは正直言って、実際に経営をしてみないと体感できません。
そのため、「やってみてください」としか言えません。

悩みの種として大きなものは、“仕入れやランニングコストなどの出金”と“売上の入金”のギャップが挙げられます。

「買掛金の支払時期」と「売掛金の回収時期」のずれが生じることによって必要となる運転資金はとても重要です。

創業して間もない時期に一番大事なものは、これまでも書いてきましたが、ボク自身は「売上」だと考えています。
ただし、それは「ビジネスを構築する上で」という観点での話です。

まずは最初のハードルとなる「商売を持続する」という意味では、やはり“キャッシュフロー”を重要視すべきだと思います。

ビジネスを継続する上で、“キャッシュ(資金)”はもっとも重要な要素の1つであり、管理すべきものです。
もし、キャッシュが無ければ、何も出来ません。

テレビなどでも「年商〇億円」のような取り上げ方をしますが、いくら売上を上げたところで、その債権の回収が出来なければ、「絵に描いた餅」と同様で何の意味もありませんし、売上が大きければそれだけ仕入れや初期投資も大きいはずですから、単にリスクを増やしているだけです。

ボク自身も新たなビジネスに挑戦する際に一番注意を払うのは、やはり“売上債権の回収”や“キャッシュフロー”です。

長年やってきたシステム開発のビジネスはBtoBビジネスであるため、常に「多額の債権を毎月回収しなくてはならない」というリスクを抱えてきました。
そうは言っても、IT業界は他の業界に比べれば回収リスクはかなり小さいため、それほどの心配をしなくても良かったのですが、漠然とした不安はありました。

また、“売上債権の回収時期”というのもとても重要なファクターと言えます。

せっかく営業努力をして売上を確保したとしても、その債権の回収時期が数か月後の契約ばかりであったら、仕入れやランニングコストが賄いきれなくなり、すぐに資金が底を尽きてしまいます。最悪の場合には「事業が黒字なのに継続出来ない」というような状況になりかねません。

最初に取り上げたとおり、経営を経験したことが無い方だとあまり実感が無いと思います。

ボク自身も起業直後はそうでした。
お客様に「支払いは60日後にしてくれ」と言われると断りづらく、売上が上がっていくにもかかわらず、手元のキャッシュが減ってしまい、自分の資金繰りが苦しくなってしまっていました。

これは体験しないと分からないと思います。
ですから、「買掛金支払は遅く、売掛金回収は早く」。このことだけでも覚えておいた方が良いかもしれません。

ボクはこのような経験から、貸会議室ビジネスを始める際には、回収リスクの不安を感じたくないので、思い切って「料金は原則先払い」としました。

それまでのような、法人向けのビジネスの場合、取引先もそれほど多くないので、与信は比較的容易に出来ますが、コンシューマービジネスである“貸会議室ビジネス”では1つ1つの取引は小さく、契約先はかなりの数になってしまいますので、いちいち与信をしている時間もコストもありません。

きちんとした与信管理も出来ないのに売上回収のリスクを抱えるのは、小資金のビジネスにおいては致命傷となりかねませんから、支払方法を“先払い”のみとしました。
ただ、この選択については、かなりの勇気が必要でした。

法人の場合、基本は「請求書発行後に清算」という後払いが主流であるため、利用者の大多数を占める“企業”が利用を控えるのでは?という不安があったからです。

しかし、自分自身が構築した“貸会議室ビジネス”というプロダクトに自信がありましたし、低価格という面では、マーケットに対してかなり優位性があると考えていたので、自分の考えを尊重して、開設当初から“先払い”で運営し、今もそれは変わっていません。
ごく稀に「後払いでないと利用できない」というお客様はいらっしゃいますが、その場合はご利用をお断りするほど、売上債権の回収に関しては徹底させています。

ビジネスにおける“資金繰り”は「事業継続の重要な鍵」となり、その中でも一番考慮しなければならないのは、”債権回収”であり、“キャッシュフロー”と言えます。

■パートナー

最後は「パートナー」です。

ボク自身は、美容関係の会社こそ“業務上でのパートナー”がいましたが、基本的に3社とも資本も創業もほぼすべて1人でやってきてしまいましたので、いわゆる“ビジネスパートナー”の恩恵と受けることなく、やってきてしまいました。

もちろん、すべての会社をボク1人ですべて運営している訳ではありません。
それぞれに従業員や管理職などの立場の人間はいますし、関わってくださる方は大勢いらっしゃいます。
しかし、それはあくまでも、ボクの指示を受けて働く部下であったり、あるコストを払って作業をしてくださる取引先だけです。

ここで挙げている”ビジネスパートナー”とは、新しいビジネスに出資をして、共に事業を構築していくという立場の人間で、いわば”戦友”と言えるでしょうね。

ボクはこれまでのところ、ビジネスパートナーと共に協力して創業したという経験が全くありませんので、それだけに“チームを組んで起業する”というスタイルにとても大きな可能性を感じています。

ボクは創業間もない方や起業を目指している方とお話する際に、「パートナーと組んで創業した方が成功しやすい」という風にお話します。

その理由は2つあります。

1つ目は、“作業分担”という点です。

起業家は“やらなければならないこと”が多すぎます。
すべての作業を並行して行うため、時間が足りなくなりがちです。

作業効率を上げるためには、なるべく“目の前の仕事に集中すること”です。
そのためには“分業”をしていかなくてはなりません。

パートナーがいれば、この“分業”が実現できます。
単に“作業分担”だけではあれば、社員を雇えば実現できるとも思えますが、細かな指示をしなければならない上に、人件費もバカになりません。
しかし、一緒に創業するパートナーであれば、細かな指示は不要で、自分の領域部分は責任を持つので“役割分担”まで実現できます。

2つ目は“資金面”です。

単純に1人で資金調達をするより、複数人で資金調達する方が多く集められます。
すでにお話してきましたが、「資金は多ければ多いほど良い」です。

ただ、この“ビジネスパートナー”という形式にも問題が無いと言う訳ではありません。

複数の人数が関わるので、それぞれの“思惑”が入り乱れます。
どうしても共に長期間ビジネスをしていくと、パートナー同士の認識がずれていき、それがお互いの関係性を崩すことになり、事業継続を困難にさせることもあり得ます。

一番揉めやすいのは、「利益の分配」という部分です。

営業会社であれば、自分で上げた利益を分配すれば良いだけかもしれませんが、そういった業態ばかりではありません。
単に部門間というだけで言っても、売上を目的とした“営業部門”と管理を目的とした“間接部門”では、それぞれにどのように評価し分配をするべきか、という点に関して客観的で明確な基準を創ることは不可能です。

担当する部門間で利益分配の格差があれば、それぞれに不満は出ますし、格差が無くても実際に売上を持ってくる営業部門としては、不満が募るかもしれません。
「利益の分配」という点だけを取れば、すべてのビジネスパートナーが満足できることはまずあり得ません。

ボクの知る限りでも、複数の人間が立ち上げた会社が「袂を分かつ」瞬間に立ち会ったことがありますが、「利益をどう分配するか?」という点で不満を感じたことが直接的な原因になっていることが多いです。

次に多いのが「将来像の相違」という部分です。

ある程度の事業規模になってくると、パートナー間で認識の相違が出てきます。

担当する部門により、そのキャリアも意識も変わります。
トップに立つものは、より現実的になっていき、創業時に持っていた理想からかけ離れていくこともあり得ます。それを「人が変わった」と感じる人間もいるかもしれません。

パートナー全員が同じ理念を掲げ続けて行動し続けること、理想と現実の折り合いを付けて同じ目標に向かって事業を継続することがいかに難しいか。
それは、まだ起業前の方々でも想像に難くないと思います。

正直言って、同じ理念を持ちつづけ、常に努力を続けられるビジネスパートナーを見つけることはとても難しいです。

「どうして分かってくれないんだ」
「言わなくても分かるだろ」

・・・そんな思いを幾度となく感じることか。
数年間仕事を共にして理念を共感し合い、お互いの意思を十分に確認したとしても、ある日突然裏切られることもあります。

こんな思いをするぐらいならば、1人で創業した方が良いのではないか・・・?
そんな風に感じてしまうこともあるかもしれません。

人間は「他人と関わるだけでもストレスを抱える生き物」だと言われます。
ビジネスパートナーと組むことで、必要のない悩み事が増えるかもしれません。

ただ、そうだとしても、複数のパートナーと共に事業を始めることは、とてもメリットが多いことだと思います。
そして何より、もしすべてのパートナーがお互いを尊重し合い、創業時の理念に基づき、自分の役割を誠意持って担うことが実現することができれば、事業を継続するごとに仕事はとてもやりがいのあるものになっていくと思います。

しかも、成功を手にしたときの喜びは、1人で創業した場合の何十倍にも感じることになるでしょう。

ですから、どんなに難しい選択であったとしても、自分にとってより良いビジネスパートナーと共に起業することをお勧めします。

■まとめ・・・起業後にまず気を付けることとして

  • 売上を上げるために効率的な仕組みを作ることは重要
  • 資金繰りは事業の基本。売上債権の回収とキャッシュフローに気を付けること
  • 起業を成功する可能性を高めるにはより良いパートナーを作ること

次回は、このコラムの大きなテーマでもある「小資本」のメリット・デメリットについて解説します。

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