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自分では気付かない良さに気付くには
私たちは物事 をちゃんと見ているようで、実は特定の偏った見方をしてしまっていることが多いようです。
この物事を見るときの特定の枠組みのことをフ レームあるいはパラダイムなどと言いますが、同じ出来事でもフレームの置き方によって受け取る意味が違ってきてしまいます。
この フレームの置き方を変えることで、違った角度から物事を見ることをリフレームと言います。思考の枠組みを変えるということで、パラダイムシフトという言い 方をすることもあります。意識的にリフレームをすることで、今までは気がつかなかったことが見えてきたり、わかってくることがあります。同じことでも別の 角度から見ることで、事実は変わらなくても意味するものが違ってくるからです。
例えば、自分のことをこんなふうに思っている人が いたとします。
・ 口下手
・ 何のとりえもない
・ 失敗ばかりしている
しかし、これらはこんなふうに言い換えることもできます。
・ 口下手 → 人の話をよく聞ける
・ 何のとりえもない → さまざまなことをそつなくこなす多才な人
・ 失敗ばかりしている → 行動的な挑戦者で目標を高く持っている
このように、見方を変えプラスの側面に焦点化することで、否定 的な言葉のなかにも肯定的な一面を見つけることもできるのです。
冒頭の社長さんのような例でも、このフレームを変えることでまた違った発見があ るかもしれません。
見方を変えて魅力的に見える工夫を
例え ば、スタートしたばかりの会社では社長が商品開発から仕入れ、営業、果ては事務や経理まですべてを行っているなどということは当たり前にあると思います。
普通なら、同業の大企業と比べて、なんて資源のない会社なんだと悲観してしまうこともあることでしょう。でも、これを別の見方をしたらどうでしょうか。
確かに大企業のようにシステマチックに各担当部署が担当業務を黙々とこなしていくほうがそれぞれの部署の効率はよいかもしれません。しかし、同時に各部署 での連携ということになると、調整の複雑さゆえにレスポンスの遅さや融通がききにくいなどのマイナス面もありがちです。ちょっとした問題でもさまざまな部 署をたらい回しにされ、同じような説明を何度も繰り返さなければならず、うんざりした思いをしたことがある方もいるのではないでしょうか。
こういう時には逆に、すべてのことを1人で把握していて、なんでも即決で回答をもらえるという点では、1人社長というのも顧客にとってメリットがあるこ とかもしれません。実際にこうした見せ方で、顧客の心をつかんで成功した企業もあるのです。
また、口下手な社長が自ら営業をしな ければならない会社では、口下手なゆえに話さなくても顧客に説明できるようにとか、営業スキルに頼らずに顧客との商談を確実に進めるために独自の商談ツー ルを工夫して成功した会社もあります。
顧客からは、話の上手すぎる営業マンより、よほど信頼できて安心できると言われるそうで す。
リフレーミングで広がる可能性
従業員が大勢いる大企業 じゃなければ信用されないのではないか?
営業は話が上手くなければダメなのではないか?これらは、いずれも売り手側の思い込みでマイナスと 捉えていたことです。
しかし、重要なのは顧客にとってよい面はないかということです。事実は変わらなくても捉え方によっては魅力的に感 じることはあるのです。
また、口下手なことを認めて営業ツールを工夫したように、新たな可能性に気付くこともあるでしょう。
悪い面ばかり見ていても解決策は生まれてきません。たとえ事実は変えられなくても、リフレーミングをしてみることで新たな可能性や選択肢に気付き、そこか ら突破口が見つかるかもしれません。