Vol.37 価値が際立つ顧客ターゲットを絞り込む順番とは

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
顧客の絞り込みが 必要だ。起業家なら一度は耳にするであろう、この言葉。 でも、実際やってみようとすると難しいもの。 今回は、中小企業のための顧客絞り込みの壁の乗り越え方(後編)です。 失敗して、「お客がいなくなる」羽目にならないために、その前に知っておきたい注意点についてお話します。

絞込むことでお客がいなくなるのでは…?

 前回のコラムでは、顧客絞り込みを簡単にするための 方法として、具体的な一個人までにモデル化する方法を紹介しました。

 具体的に誰か目の前にいて、その人に合わせた提案をするということな ら、少しはできそうですよね?

さて、具体的な方法が分 かっても、「絞り込むって言われても、絞り込むこと自体が不安だ」という方も多いようです。たしかに、絞り込みに失敗した場合に本当にお客 がいなくなってしまう心配もあります。そこで、今回は顧客絞り込みの注意点についてお話したいと思います。

 

絞り込みの順 番を間違えないこと

 顧客を絞り込んだら、お客が減ってしまうのではないか?答えは、YESでありNOでもあります。

 

  お客の数か、それとも質か?相反する、この2つで当然悩むことになります。市場規模と訴求のしやすさのバランスがよいところを狙うことこそが一番難しいの です。

 その問題を解決するために、重要なのは絞り込みの順番です。37-1

 一発で絞り込もうとすると対象が狭すぎて十分な市場規模が無いということがよくあります。ですの で、大きいところから順番に絞り込んでいくのがお勧めです。そうしながら競合と差別化できそうで自社の強みの活かせるところ。そこの市場規模が期 待するだけのボリュームがありそうかを判断していくのです。

 例えば、最近、ホームセンターでは周辺の農家向けに肥料や農薬、農業資材の品 揃えを充実させたり、工務店向けに建築資材やプロ用の道具や資材などの品揃えを充実させるところが出てきています。

 このホームセ ンターの場合、

(1):店舗の商圏 (2)その中でプロ用の資材や道具を求める人(3)さらにその中で工務店などのプロ

以上 のような順番で、少しづつ小さく絞っていくと、競合として既存の資材販売店があげられます。

 

 この競合に対して、店 舗の品揃えが豊富なホームセンターは行けばすぐ買える利便性という強みを発揮できます。つまり、プロ用の資材や道具を求めるプロ向け商品の店舗在庫を充実 させることは、ホームセンターの強みを生かして、既存の資材販売店と差別化でき、なおかつ市場規模も大きそうだということが分かります。

  これがさらに他のホームセンターも真似をして、ホームセンター同士の競合になってくると、その中で金物資材を求める人、建築工具を求める人、特定のサービ スを求める人、のようにさらに細分化していくことになります。十分に戦える市場がありながら、いきなりニッチジャンルのニッチ商品だけのように絞り込んで しまうのは、空腹時にピザを半分勧められて、味のないミミだけをかじるようなもの。大きいところから順番に絞り込んでいくのがお勧めです。

 

顧 客が価値を感じられるかどうか

 顧客の絞り込みで注意したいのは、市場規模だけではありません。次に考えたいのは、絞り込んだ顧客 が商品の価値を感じられる顧客かどうかです。
 この不況で新車販売は不振ですが、その中でもフェアレディZというスポーツカーは前年比 4~6倍の売れ行きだそうです。

「スポーツカーを買うのは若者のはず、若者の車離れなどと言われているのになぜ?」37-2

 そう感じる方も多いと思います。実は、若い世代はこうしたスポーツカーにさほど価値を感じなくなっているので す。売り上げが伸びているのは、「スポーツカーをあこがれの車」として価値を感じられる顧客」。スーパーカーブームを経験した、つまり 40~50代が中心顧客となっているのです。この世代で購買客の60%近くを占めているそうです。

 

 

絞 り込みが目的ではないことを忘れずに

  もうひとつ、ひょっとするとこれが一番重要かもしれません。
  顧客の絞り込み は、自社のマーケティングを効率的にするために行なうものだということを認識することです。絞り込んだターゲットに該当する人しか お客にならないわけではありません。必ず商品の価値を拡大的に解釈した絞り込んだ範囲外の顧客が来るのです。
 例えば、誰だって 「プロ用」と明記されて販売されているものを一つぐらいは買った事があるのではないでしょうか?
 これは「プロが使う=品質が良い」などと拡大的 に解釈して価値を感じた消費者心理が働いているのです。37-3

 他にも「におわない納豆」などは、元々納豆のヘビーユーザー向けに考えられていた商品だったというのは意外と 知られていない話です。
 今では、納豆は苦手だけれど臭わないならという人や子供などにも好まれているようで、最近のシリーズでは発売後2ヵ月で 6000万食(単純に人口で割ると2人に1人が食べた計算に)も売れるほどのヒット商品も育っているそうです。

 絞ったら価値が際 立って、絞り込んだ以外の顧客も来るようになる。顧客絞り込みの真価は、こんなところにあるのかもしれません。

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