企業会計 Vol.32 従業員2名の会社は、どのようにして企業再生を成功させたのか?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

100年に一度といわれる不景気の中で、売上の減少に悩んでいる経営者が多いと思います。
しかし、そのような中で着実に利益を出している企業は存在します。今日は事例を使いながら安易な安売りに走らなくてもきちんと利益を出す体質をつくるポイントを探ってみます。

不況のあおりを受けて売上が減少傾向に

ホームページ制作会社で あるA社にも不況の波が押し寄せてきました。16-25年前の創業以来受注が伸びてきて売上も2,700万円、従業員も2名にまで成長しましたが、最近では大幅な値引きをしないと全く 発注先に相手にされない状態に。赤時でも給料を払うために仕事を受注しなければならず、今期の決算では約300万円の赤字になりそうです。
これと いった資産や担保もなく、先日なんとか銀行から1500万円ほど借入したばかりですので、これ以上の借入は難しそうです。早めに何らかの対策をとらないと 給料や家賃の支払いもできなくなってしまうことになりかねません。

コストの構造を分析してみよう

A社のコストの構造を分析してみると、社長の役員報酬が600万 円、二人の社員の給料が合計で800万円、社会保険料などの法定福利費が160万円、家賃が180万円、その他リース料やパソコンやサーバーの減価償却費 の合計が200万円です。これらの費用はたとえ売上がゼロになったとしても必ずかかる固定費と呼ばれる費用で、合計1,940万円にもなります。このほか に、外注費やコンテンツの購入代金、広告宣伝費などの売上に連動して増減する変動費という費用が1,060万円ほどかかっています。この数字をみると明ら かに固定費の負担が重くなりすぎており、売上の減少に耐えられない構造になってしまっています。

さぁ、 改革開始!

当面は借り入れた資金がありますので、お給料などを支払に問題はありませんが、払えなくなってしまうのも時間の問題です。幸い 従業員たちは高い技術を持った人たちなので、個人事業主として独立してもらい、今までの仕事は外注として直接発注するということで二人に合意をもらうこと ができました。そうすると、事務所自体不要になるので、社長の自宅に本店を移転することにしました。リースの解約や従業員へのパソコンの譲渡で多少の損失 は出ましたがしょせんは一時的なものです。これらのことで社長の役員報酬を変えずに固定費を800万円台にまで減少させることができましたので、比較的身 軽で利益が出やすい会社に大変身を遂げることができました。仕事の品質も全く下がっていませんので、顧客からのクレームは一件も発生しませんでした。

顧客資産の見直し ~ビジネスモデルの変更~

しかし、変革はこれだけでは終わりませ ん。A社の顧客の声を分析してみると、顧客企業の事業内容を理解した上で、きちんと売上につながるホームページを作成できるというのがA社の強みだという ことがわかってきました。そこで、2~3年前にホームページをつくってそのままになっている顧客に対して、ホームページ経由で増加した売上の一定割合を成 果報酬としてもらうことができる契約を締結し、外注を上手く使いながらホームページのリニューアルを行っています。成果も着実に出始めており、A社と同じ ように売上低迷に悩んでいた顧客からも感謝の声がたくさん寄せられています。34-6

成果が出始めるまで時間がかかるのと、最初は持ち出しになるため、A社の売上は2,200万円まで下がっ ていますが、無駄な経費を抑えたことで400万円ほど利益が確保できています。
社長が資金繰りのことばかり考えていた以前の状態では考えられない ような積極的な営業ができるようになり、顧客からの紹介も得られるようになってきました。社長も会社の将来に希望が持てるようになりました。

時 代の流れや自社の戦略に応じて、コスト構造を柔軟に変更できれば不景気がチャンスに転じることもあります。自社の強みを最大限活用して、顧客の利益を守る ことができれば、顧客が離れていくことは少ないと言えます。

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