Vol.11 経済効果20億!危機感を脱した起死回生イベント~させぼ四ヶ町商店街~

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
行けばつねに何か がある「イベント」。YOSAKOIさせぼ祭りでは、観客動員数は26万人となり、経済効果はなんと20億円となったさせぼ四ヶ町商店街の元気の秘密に迫 ります。

近隣の商店街との協力体制でより大きなイベントに

  「きらきらフェスタin SASEBO」「ゴールデンこどもまつり」「YOSAKOIさせぼ祭り」など、とにかく華やかなイベントが目白押し。

「こ れらのイベントは、すべて自分たちで企画、製作、実行まで手がけたんです。青年会議所の有志たちにも協力してもらって、商店街に人が溢れるようなイベント にすることが大切なんです」

 そう語るのが、長崎県佐世保市、させぼ四ヶ町商店街協同組合 理事長・竹本慶三さんです。
 

  竹本さんが先代から続くバッグショップを引き継いだ頃は、商店街に人が集まらず活気がありませんでした。これではどんどん負の連鎖に陥って、この商店街が 廃れていってしまう、竹本さんはそう危惧していました。

「1996年に近隣に大型ショッピングセンターができると聞いて、『このままでは、 本当にダメになってしまう』との思いから、自ら立ち上がったんです。有志を集め、対策を考えますがなかなかいい案は出てこない。さらに多くの人たちを巻き 込んで話し合いを続けるうちに、イベントをやってみようということになったんです」

 

 時を同じくして、行政側から街を活気 づけるために助成金を出すという話が舞い込みました。

「これだ!と思いましたね。どうせなら、近隣の商店街も巻き込んで合同でやろうと。そ れぞれが‘個’で戦うより、みんなで‘面’で戦ったほうが強いし、補助金も増えますから(笑)」

 

5000人のチャリティーパーティで資金集め

 こうして 四ヶ町商店街、三ヶ町商店街、老舗の大型店舗が集まって、イベントの企画を立て始めました。最初は商売柄、セールなどをやろうと考えていましたが、それで は新しい顧客層の掘り起しにはなりません。人を集めるには、マスコミが動くような斬新な企画が必要でした。クリスマスが近かったこともあり、商店街の中心 にある公園をメイン会場にして、イルミネーションイベントをしようと決まりました。その名も「きらきらフェスタ」。クリスマスにはサンタクロースも必要だ し、ミニログハウスで郵便局もつくろう、と話はトントン拍子に進みます。美術館の壁面をイルミネーションで飾り、今までの佐世保市にはない規模でやろうと 盛り上がりました。企画が固まるにつれ、実行委員会のスタッフたちの士気もどんどん上っていきます。ようやく、みんなに一体感が生まれた瞬間でした。

 

「イ ベントの企画が大きくなると、もちろん予算も膨らんでいきます。助成金だけでは賄いきれずどうしようかと思案していたとき、スタッフの一人がパリの1万人 パーティに対抗して、商店街アーケードの中でチャリティー大パーティを開こうと提案したんです。商店街で場所とテーブルを用意し、店ごとに一人1000円 のパーティ券を販売する。乾杯用のビールやワインを用意して、その他はお客さん自身に持ち込んでもらいました。こうして5000人が集まり、パーティは大 成功。その資金をイルミネーションイベントに充てたんです」

 助成金だけに頼ることなく、自分たちでも資金を集めるための工夫をすることが 大切と話す竹本さん。イベントを長く続けていくためには、必要不可欠だということです。

 

YOSAKOI祭りをきっかけに日本一の商店街へ

 大成功 を収めた「きらきらフェスタ」。いつもは静かな商店街に、大勢の人たちが集まり、街の活気を取り戻しつつありました。「もっと人が集まるいろんなイベント をやろう!」という声が、自然に仲間たちから上ったのはいうまでもありません。

「ある会議の時に、スタッフの一人がYOSAKOIソーラン 祭りのビデオを持ってきて、みんなに見せたんですよ。こんなことやりたいってね。そしたらみんなも大賛成で、30人が自腹で北海道のYOSAKOIソーラ ン祭りを見て、感動して、絶対にこれを佐世保でやろう!ってすぐに決定したんです」

 まずは実績をつくって、その後多くのスポンサーを探し て大きな催しに展開しようと、1998年にダンスバトルのイベントとして、6チームが参加。2000年からは、本格的にYOSAKOIさせぼ祭りとして開 催。参加は43チームとなる。そして2005年には、141チーム、7500人の踊り子が集まる大きなイベントに成長。期間中の観客動員数は26万人とな り、なんと経済効果は20億円となりました。商店街の有志から始まった、このYOSAKOIさせぼ祭りは、一大イベントへと成長を遂げたのです。

 

  今では日本一元気な商店街と呼ばれるこの商業地は、イベントをきっかけに近隣の商店街と大型店舗が集まり「さるくシティ4○3(よんまるさん)アーケー ド」と名前を変え、させぼの中心地となっています。

「商店街の役割は、人と人が出会う社会的な役割、モノの売り買いで起こる経済的役割、出 会いによって生まれる文化情報発信の役割と、3つあります。賑わいが賑わいを呼ぶのですから、まずは人をいかに集めるかが大切。そこから活力がわいてくる のです。これからも、自分たちが楽しめて、人がたくさん集まるようなイベントをどんどん考えていきますよ!」

 

今回のポイント

 今回の四ヶ町商店街協同組合は、強いリーダーシップともに、先進的アイデアを取 り入れる風土や連帯が強いがポイントと思われます。

 商店街の一般的には、各店舗が独立しており、協調性が悪く、自分の店舗 の利益しか考えず商店街の行事にも協力的ではありません。特に、売れている店舗ほど協力しない傾向がありました。しかし、実際は商店街全体が一丸となって 行動しないと、集客的にはスーパーに負けてしまいます。だが、四ヶ町商店街協同組合は佐世保駅、ダイエー等の商業集積が近くにありながら、商店街が一丸と なることにより、近くの商業集積に負けない魅力がる商業集積になっています。そのツールの一つが、行けば何かがあると言う「イベント」なのではないでしょ うか。

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