会社経営に必要な法律 Vol.04 NOVA事件に学ぶ消費者保護という法律の原則

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
「NOVAウサギ」で有名な外国語会話学校NOVAに対して、受講契約の中途解約における清算規定の有効性が争われた最高裁判決では、消費者勝訴という結果となりました。この判決は、消費者を相手とする事業を行う会社にとっては、特に大きな意味を持つものです。そこで今回は、消費者を相手とするベンチャー企業などの会社が、この事件から何を学ぶ必要があるのかについて説明します。

どのような事件であるか

 

 外国語会話学校NOVAに対し、受講契約の中途解約をした元受講者が受講料の返還を求めていた訴訟で、2007年4月3日、最高裁はNOVA側敗訴の判決を下したというものです。

 NOVAでは、受講前に一括購入するポイント(1 ポイントにつき1回の授業が受けられる)の数が多いほどポイント単価が安くなるシステムをとっていました。そして、受講契約の中途解約をした場合の返金額の清算の際には、すでに利用したポイントの金額換算において一括購入時とは異なるポイント単価(1ポイントあたりの単価が高いもの)で計算するものとし、中途解約を早期に行うほど消費者にとって常に不利になる(返金額が少なくなる)反面、NOVAにとって有利になるものでした。

 今回の裁判では、この清算規定が、消費者の中途解約権を侵害するものとして無効になるのではないかということが争われたところ、この清算規定は無効とされ、返金の額の計算には、一括購入時のポイント単価を使うべきとされ、NOVA側が敗訴しました。

 

 

どのような法律が問題とされたか

 最高裁は、消費者保護を目的として通信販売などのさまざまな取引形態を規制する特定商取引法49条は消費者の中途解約の権利が不当に害されることを防止することを目的としている条文である、とした上で、NOVAの清算規定は、結果的に消費者の中途解約を躊躇させるものであり、中途解約権を不当に害するものなので同条項に違反し無効であると判断しました。

 今回問題となった特定商取引法49条が適用される業種は、法律で指定されており、NOVAのような語学学校のほかには、エステティックサロン、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスとなっています。

 

 経済産業省による特定商取引法の解説→http://www.meti.go.jp/policy/consumer/tokushoho/gaiyou/gaiyou.htm  

 

 

BtoCのビジネスのベンチャー企業としての注意点

 

 これまで、NOVAの清算規定については、消費者センターなどに苦情が多く寄せられており、また各地で裁判も提起されていました。ただ、最高裁による判断は今回が初めてとなりました。最高裁による判決が出たことによって、経済産業省もこれに従った指導を強化することが予想されます。

 今回問題となった特定商取引法の規定は、NOVAのような外国語会話学校以外の業種に対しても適用されるものです。そこで、自社にこの49条の適用があるかを再確認する必要があります。そして、適用がある場合には、自社の事業についても今回の判決に従った対応をしなければなりません。

 また、今回の裁判でNOVAは、「割り引き制度を悪用して、はじめから中途解約するつもりにも関わらず、大量のポイントを購入する消費者が増え、結果として現在のように大量購入者に対してメリットを与えるような割引制度が立ち行かなくなる」と主張していました。結果としてこの主張は受け入れられなかったわけですが、事業者の立場としては、このような消費者が現れる危険性は十分に頭に入れた上で、今回の判決の趣旨に沿った制度設計が、今後必要となります。

 そして、今回の事件にかかわらず、消費者が相手となる場合には、法律上、消費者側に手厚い保護がなされることが通常です。これは、当事者が平等に取り扱われることが原則である企業間の取り引きとは大きく異なる点です。したがって、消費者を相手とする事業を行っている会社は、このような法律の考え方を十分に理解し、消費者の利益に十分な配慮が必要であることを改めて認識しなければなりません。

 中途解約が問題となった他の事例→MBA受験講座の受講契約に関する消費者契約法の取消しと特定商取引法の中途解除

 外国語学校における受講契約の中途解約が問題となった事例です。今回の事件とは若干異なり、消費者契約法に基づく中途解約が認められるかにつき争われたものですが、消費者が相手となる事件における裁判所の姿勢がわかります。http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/200703.html            

 NOVA事件下級裁判例→NOVAの中途契約における清算規定の有効性を争い、各地で提起された下級裁判所の裁判例です。いずれも、 NOVA側敗訴となっています。

 東京地裁平成17.2.16  http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/200507.html

 東京地裁平成16.7.3    http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/200411.html

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