知的財産:Vol.33 あなたのお店は大丈夫!? 今、店名が危ない!!

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
韓国のトンカツ屋が名古屋名物のみそカツの老舗の店名やキャラクターを真似たとして騒ぎになりました。韓国特許庁や韓国公正取引委員会などの名前が登場し、非常にわかりにくい報道になっていたような気がします。海の向こうで起きた事件とはいえ、国内でも同種の事件が日々発生しているので、内容を整理したいと思います。

他人の商標登録がなければOK?

 まず、みなさんもそうだと思いますが、自分が使いたい店名が、他人によって商標登録されていなければ、即使用OK、と判断するのではないでしょうか。

確かに、他人が商標権を持っていなければ、使える可能性はあります。とはいえ、絶対に使えるというものではありません。例えば、自動車のトップメーカーは一般的に、飲食店にまで商標登録はしていません。

それをいいことに、第三者が自動車のトップメーカーの名前の喫茶店を開店したとします。これって、本当にOKなのでしょうか?お客さんは、「あの自動車メーカーが喫茶店まで始めたんだ!?」と思って店に足を運ぶことにはなりはしないでしょうか。もし、このような認識をお客さんが持ったとすれば、明らかに、他人の名声に『ただ乗り』して集客したことになります。たとえ、他人に商標権を侵害していなくとも、不正競争防止法に定める不正競争行為を冒すことになる場合があるのです。

 

著名でなければ、真似してもOK?

 不正競争防止法の不正競争行為としては、まず、他人の著名な商品等表示を使用する行為が定められています。確かに、著名でありお客さんに広く知られた店舗名であれば、その店名を第三者が無断で使用すれば違法性があることは容易に理解できると思います。では、著名でなければ真似してもいいのでしょうか?不正競争防止法の不正競争行為としては、もう1つ、著名とまではいかなくとも需要者の間に広く認識されている商品等表示を使用し、他人の営業と混同を生じさせる行為が規定されています。“著名”と“需要者の間に広く認識されている”との線引きが難しいとはいえ、やはり店名を模倣する行為は、厳に慎まなければなりません。

 

ありふれた店名

 とはいえ、一方で、○○商店(○○の部分は、多くは氏)という店名は、同一のものが日本国内で大量に見受けられます。

このようなありふれた店名まで法律で規制することは、自由な商売を制限することにも繋がりますので、比較的緩やかな取り扱いがなされていると思います。商標法の審査基準も、ありふれた商標として、例えば、アルコール飲料を主とする飲食物・茶や珈琲の提供において

・「愛」

・「純」

・「ゆき」

・「蘭」

・「オリーブ」

・「フレンド」

以上のようなものなどは登録させない(特定の者に独占させない)、という運用がなされています。

 

インターネット時代

 インターネットが普及する前の時代においては、地域を越えて店名が有名になるケースは非常に限られていました。しかし、今は瞬時のうちに店名が著名になってしまう状況になっていますので、特に店名の選択には留意が必要になっています。新たに店を出そうとする側としては、単に同一地域に同じ名前の店がないか確認するだけに留まらず、インターネットの検索エンジンで広く検索する必要もあるかと思います。インターネットショッピングが飲食などにも幅広くおよび、地域を脱した店名が急速に増殖しているからです。逆に、今まで安心して店を営んでいたつもりが、後から出てきた同一名の店に商売を駆逐されるケースも生じており、このインターネット時代、店名には、十二分の注意が必要な時代と言えるのではないでしょうか。

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