Vol.4 起業戦闘力に直結! 創業時の銀行活用法。日本公庫と民間系をハイブリッドで

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

前回は起業に際し、「サラリーマン時代の強固な信用力」を、起業後の自分に「期限の利益」として確保することでプレゼントする手法についてお話ししました。つまり、ここまでは「起業前」にできる銀行活用法についてでしたね。

今回からはいよいよ、「起業直前~起業後」にできる銀行活用法について触れていきたいと思います。各種ある金融機関の特色や、自身の事業に合った選び方をお話ししたうえで、理想的な資金調達の方法についてお話ししていきます。

今回のポイントは3つあります。

1. 創業資金の調達先は政府系と民間系、2つの長所を使い分けて活用力を最大化
2. 理想の資金は「低金利」で調達でき、「即応性・柔軟性」を有し、「提案力」も得られる
3. 創業資金獲得モデル、ハイブリッド活用で安い資金調達と事業永続性を両立

起業に際する銀行の役割、それはなんといっても融資です。

「さあ起業するぞ!」と思い至った方が銀行を活用する。その活用方法として誰もが思いつく王道が「融資(創業資金)の利用」ではないでしょうか。

前回までの「起業前の住宅ローン活用」や、次回予定する「銀行員の目利き力活用法」は、銀行活用法の中では知る人ぞ知る“応用編”の内容。元・銀行員たるホームバンカーの見地に立脚した裏ワザ的銀行活用法の提案ですが、同じホームバンカーの見地で、王道たる活用法「融資(創業資金)」についてメスを入れると、創業資金調達のベストミックスと言える金融機関との付き合い方が見えてきます。

早速、本題に入ってきましょう。

「明日から起業できます。」どこの銀行に行きますか?

ということで、実際に創業資金の必要性が具体化した場合、借入申込みはどこの金融機関に行かれるでしょうか。おそらく「どこへいったらわからない」というのが多くの方の本音になると思います。市中には金融機関の種類だけでも「銀行・信用金庫・公庫」などといったものがあり、さらにそれぞれが独自の経営を行い複数の行庫を形成しています。

そんな中、各金融機関の特性を検証することなく「なんとなく」や「近いから」といった理由のみで申し込み先を選別するのは大きなリスクが存在します。リスクは大きく分けて2つ、「借り入れ自体が上手にできるかわからない」といったリスクと、「将来の事業ビジョンにマッチしたメインバンクたり得るか」といったリスクです。

前者は誰にでもわかりやすいリスクですが、後者のリスクが顕在化するのは数年後。今から上手に選定しておかないと、将来の事業にツケを回すことになりかねません。これらのリスクを避けるため、申込みの前段階で各金融機関の特性を検証することは非常に大切なことになると思います。以下に、ホームバンカーの考える各金融機関の特徴を挙げてみますので、借入戦略構築の初歩として参考にしてください。

● 日本政策金融公庫(以後、日本公庫と略)…言わずと知れた「政府系」金融機関
     【対象】…ほぼすべての起業希望者、今後資金を要しない「スモールビジネス」にはベストな選択
   ・メリット…金利が安い、借入が比較的容易 ・デメリット…応用力・提案力は高くない

● 銀行(地銀)…一番一般的な金融機関。
   【対象】…申し込み時点、もしくは早期の法人成りを目指す起業希望者
   ・メリット…幅広い層を対象にできる、応用・提案も可 ・デメリット…金利は低~中程度

● 銀行(都銀)…地銀を真ん中とすると、より大きな事業を対象とすることが多い。
   【対象】…人格は法人成りを前提とし、VC(ベンチャーキャピタル)なども視野に入れる起業希望者
   ・メリット…ダイナミックな資金調達が可能、応用・提案も良 ・デメリット…調達難、回収も早い

● 信用金庫…地銀を真ん中とすると、より小規模の事業を対象にすることが多い。
   【対象】…個人事業主や一人会社から着実にステップアップしていきたい起業希望者
   ・メリット…親身な対応で敷居が高くない、回収も遅め ・デメリット…金利は中~高程度

融資は創業だけじゃない!事業永続性を担保する、銀行活用法

前項で銀行の特徴について、ごく簡単に触れてみましたがいかがでしょうか。ご自身の取引したい銀行のイメージはできましたか?

この中で、私のクライアント様の実際の状況や、私自身の考える、「メインバンクにしたいオススメの金融機関」を考えると、ズバリ「信用金庫」か「地銀」が最初の入り口になります。この2つの違いは「将来どの程度の規模の会社にしたいか」という事業ビジョンによるところが大きいのですが、そこまでの練り上げが済んでいらっしゃらなければ、融通の効きやすい「信用金庫」が有力になります。

とはいえ、今まで述べたのは各金融機関の“形態”に関する特徴だけ。これとは別に“個別の経営状況や融資態度”は各行庫ごとに異なりますので、それらの吟味も十分に重ねる必要があります。地域の異業種交流会や、個人的につながりのある先輩経営者の方々から情報を得るのも一つの方法ですね。

ここで考えたいのは前項でも触れました、ご自身の「将来の事業」への影響についてです。融資は創業時に獲得して終わりというわけではありません。事業を営む中であらゆる経営課題が生まれた際、それを乗り越えるために必要になってきます。課題というとネガティブなイメージが付きまといますが、ポジティブな意味では「売り上げが増加する際」も課題となり、運転資金が必要になります。その際に「リスクを迅速に避け、チャンスをつかみきる」ためには、追加の融資は必須となります。そこで「資金需要に即応できる金融機関」との付き合い方が重要になってくるわけです。

ですが、創業直後は安い金利も魅力的。「金利の安さと借り易さ」の2つの安さを両立し、事業永続性を担保できたらこんな良い方法はないですね。次項でホームバンカーである私が自社でも行った、1つのロールモデルを提示いたします。

ホームバンカーがお勧めする、創業資金獲得モデル

それでは「どこの銀行に行きますか?」の項で触れた、各金融機関の特色を振り返ってみましょう。ここに「誰もが“いの一番”に検討すべき金融機関」が載っています。「金利の安さ」と、誰にでもあてはまる「対象の広さ」を兼ね備え、一番初めに挙げられている金融機関、そう「日本公庫」がそれにあたります。上記の中では唯一の政府系金融機関であり、昨今のアベノミクスに絡んだ「起業創業支援の政策的意図」もダイレクトに反映するプレーヤー。創業融資の金利もはっきり言って「安い」ですし、借入も「しやすい」。こと創業融資については民間金融機関ではレースにならない状態であると思います。

しかし、2つの意味で「やすい」からと言って「ぜひともメインバンクに選定したい!」と結論を出すのは早計です。安いものには裏がある、この場合は「即応性と提案力の不足」が挙げられます。日本公庫の業務の実態は、エリア内の「多くの事業先を少ない担当者で回している」状況。審査も形式的になりがちで、借入するには民間に比べ簡単なのですが、その分提案も乏しいのが現実です。私の事業所を管轄する日本公庫の支店では、「エリア内の事業所数22,113先に対し担当者は3.5名(パートは0.5人換算)」、つまり「1人当たり6,603件の担当先がある」という計算となります。

ここで検討したいのが民間の金融機関、特に「地銀と信金」です。彼らは地域に密着しているため、取引先のマッチングも含めたさまざまな提案のメニューを用意してくれています。日本公庫で調達した資金は民間の金融機関の口座を「資金決済口座」に指定する必要があることから、その口座を自身に合った金融機関で設定することで「将来の経営課題に迅速に対応する準備」を万全にします。特に、地銀や信金であれば資金使途の制限も広く、即応性も高いことから、多くの課題に対処できる守備範囲を獲得できます。

私自身の会社も日本公庫の創業資金と地銀の融資を並立させて資金調達を行うことでそれらの対策を万全にしています(詳細は最終回でもう一度掘り下げます)。

次回

今回は「本コラム」の中では珍しく、「正攻法での銀行活用法」について触れました。正攻法とはいえ、「どの金融機関に行けばよいかわからない、起業を検討されているステージの方」には価値のある内容であったのではないでしょうか。「正攻法での活用法」は、将来的なメインバンクになる金融機関を選定する作業ですので、実際には綿密な調査が必要です。「成功(正攻)に近道なし」、本来は一番地味で労力もいる活用法になるのですが、その分「自身の事業」にしっかりマッチしたメインバンクを選択できれば、将来の事業戦闘力は飛躍的に向上します。

次回はこれらを前提とし「しっかりマッチしたメインバンク」を選定した上で行う、「ワンランク上の銀行活用法」に触れていきます。さらに「ホームバンカー自身の銀行活用法」を公開し、本コラムの最終回としたいと思います。どうぞお楽しみに!

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