ドリームゲートアドバイザー 森 滋昭


森 滋昭 氏(森公認会計士事務所)

◆会計士の枠を超えた公認会計士!◆ ビジネスプランのブラッシュアップから会社の成長までをサポート

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Vol.2 はじめての法人税から節税しよう


法人税は、1年間の決算で利益が出ると発生しますが、節税対策は初年度からしっかり行ったほうがお得です。

まずは、起業の流れに沿って1年間で出来る節税策をみていきましょう。

1.起業の時に使える便利な費用は?

会社設立の時に発生する費用として、
・創立費:会社設立までにかかった費用
・開業費:会社設立後から営業開始までにかかった費用
・開発費:新たな技術、新たな経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓又は新たな事業の開始のために特別に支出する費用

という3つがあります

これらは、繰延資産として、税務上、任意償却が認められているので、設立時に全額償却できます。

また、繰延資産として翌期に繰越し、設立から5年以内に黒字化した時に、費用化することもできます。

そのためには、起業を決めたら、こまめに領収書を保管しておくようにしてください。

2.オフィスをどこにする?

会社を設立した時に最初に決めなければならないことの一つは、オフィスですが、最初のうちは、自宅をオフィスにすると、資金を節約できます。 その場合は、会社から賃料をとってもとらなくても構いませんが、賃料を取れば会社の損金となり節税となりますが、賃貸借契約を締結し、実際に資金を移動することが必要です。 一方、会社からの賃料収入は個人の不動産所得となりますので、個人での所得税が発生しする場合があります。 一方、経費とするには ・自宅を借りている場合、賃借料の一部を経費とする。 ・持家の場合は、建物の減価償却費や固定資産税、火災保険料、住宅ローンの利息など のうちオフィス分を面積などで按分し、経費とする。 という2つの場合があります。 なお、賃料収入から経費を差し引いた不動産所得が20万円以下であれば、確定申告をしなくてもいいことになり、個人でも節税になる場合があります。

3.設備や備品は、中古にしよう!

スタート時は、機械や備品、店舗設備、自動車など、様々な設備投資にもお金がかかります。 そこで、資金面・税務面でも有効なのは、中古資産を利用することです。 中古資産は、新品よりも安く、税制面でも中古資産の耐用年数は、 「法定耐用年数の残存年数+経過年数×0.2」 となりますので、新品よりも短い期間で減価償却ができます。 例えば、自動車の法定耐用年数は6年ですが、3年走った自動車を中古で買った場合は、わずか3年で償却できます。

4.一番の節税、役員報酬

役員報酬は、まとまった金額を自分の裁量で決めることができるので、やはり節税のキーとなります。さらに家族を役員とすれば、節税の余地が広がります。 ただし、役員報酬は、期首から3カ月目以内に決めなければならず、その後、基本的には1年間変更ができません。 そのため、起業をした時は正確な1年間の売上を見通せないので、予想以上の売上となってもいいように、役員報酬を少し多めに決めておくのも一つの方法です。

5.まだ間に合う、決算直前の節税策

起業から1年、業績も好調で予想外の利益が出そうな時に、決算前でも間に合う節税策があります。 1)お金のかからない節税策 まずは、お金が流出しない節税対策です。 期末に未払になっている費用、例えば、 ・締め後の従業員の給料 ・社会保険料 ・固定資産税 などは、帳簿上で未払費用を計上すれば、費用を増やせます。 2)一年分を前払い 次に、一定のサービスを受けるような費用、例えば、 ・家賃 ・保険料 ・利息 などは、期末に1年分を前払いすれば、全額損金に出来ます。 家賃など、大家さんの承諾が必要ですが、自宅をオフィスにしている場合は、スムーズに1年分の家賃を前払いすることも可能です。 3)節税しながら、やる気向上! 1年間頑張ってくれた従業員へ、決算賞与を支払うことで、モチベーションをアップしながら節税ができますね。 しかしそのためには、 ・決算日までに、決算賞与の支給額を全員に知らせていること ・決算日から1ヵ月以内に全て支払っていること ・決算で未払計上していること が必要ですし、役員は含まれないので注意してください。 このように、決算直前でもいろいろな節税対策を打てるのですが、そのためには、ある程度正確な月次決算を、毎月早めに行える体制が必要です。

6.法人税、一体、どれくらいかかるのか?

起業して1年、無事、黒字となれば法人税を支払いますが、正確には法人税の他に、事業税と住民税を、決算から2か月以内に国や地方公共団体に申告・納税します。 それぞれの税金の具体的な税率は、課税所得(税務上の利益)に応じて異なりますが、 大体、課税所得800万円以下で、実効税率が約40%から約25%へ低くなっています。 ただし、 ・事業計画などを作る時や、 ・大体どのくらいの税金がかかるか考える時には、 余裕を見て利益の4割が法人税になると覚えておけば十分かもしれません。 課税所得 法人税 事業税 住民税 実効税率 ※ 年800万円超 30% 9.6% 17.3% 40.87% 年800万円以下 18% 7.3% 26.48% 年400万円以下 5% 24.87% ※ 利益に対する合計税率は、各税金の税率を単純に合算するのではなく、次の計算式で出された実効税率になります。 「実効税率=(法人税×(1+住民税)+事業税+)/(1+事業税)」

7.赤字になってもかかる税金は?

日本政策金融公庫のアンケートでは、起業から1年経っても約4割は赤字体質です。 つまり起業1年目の多くの会社は、赤字決算となりますが、そんな時でも“均等割”という税金がかかってきます。 この均等割、基本的に、 ・資本金等(資本金と資本準備金の合計)と ・従業員数、 そして ・事業所数や所在地 によって違います。 例えば、東京都に事務所があり、 ・資本金1000万円以下 ・従業員50人以下 の場合、均等割は7万円になります。

8.赤字決算、これからどうする?

赤字の場合、 実は、“繰越欠損金”として、翌期以降7年間繰り越し、翌期以降の黒字と相殺し、税金を払わなくて済むメリットがあります。 例えば、 ・1期目、▲100の赤字で、 ・2期目、40の黒字の場合、 2期目は、利益40を、1期目の繰越欠損金と相殺できるので、税金を払わなくてすみます。 3期目には、繰越欠損金のうち2期目に使われなかった▲60(=▲100+40)が繰越されます。 そのため、起業1年目の決算が赤字の時でも、翌期以降の利益計画も考えながら節税策を考えましょう。

9最後に

法人税は、利益の約40%と重い税金ですので、しっかり節税をして会社にキャッシュを残すことが重要です。 しかし、起業した時から節税や赤字決算にすることばかりに意識がいくと、会社がどんな状況にあるのかわからなくなってしまいます。 まずはビジネスを成長させることに集中しましょう! ※なお本文は、平成23年9月末時点の制度を前提としており、臨時復興増税などにより、税率や繰越欠損金制度の改正が予定されています。