経営戦略 Vol.81 働き方が変わる!? 「コワーキング」人気に見る日本人の意識変化

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 最近、都内近郊を中心に「コワーキングスペース」や「シェアオフィス」が増え続けているのをご存じでしょうか? 「コワーキング」とは、デスク、会議室、打ち合わせスペースなどを共有しながら独立した仕事を行う“共働ワークスタイル”のことですが、こうしたスタイルがなぜ人気を呼んでいるのか…そこからは日本人の意識変化が見て取れます。「シェア」を求める人々の意識変化。経営者として、深く理解しておく必要があるでしょう。

「ノマド」が定住!? ネットが働き方を自由にした

 近年、「ネットにさえ通じればどこでも仕事ができます!」という職種が増えています。昼間、都心のスターバックスカフェなどでは、PCを開いて真剣に仕事している人を見かけることもめずらしくないですが、そうした人々は「ノマドワーカー」などと呼ばれていました。ちなみに「ノマド」とは遊牧民の意で、特定のオフィスを持たず、自宅に飽きたら、あちこちのカフェやファミレスを転々としながら仕事をするフリーなワークスタイルに憧れる若者も多かったようです。

 しかし、実際に「ノマドワーカー」を続けてみると、電源の確保に苦労したり、周りが騒がしくて仕事に集中できなかったり…それなりの苦労もあったようです(――;) そこで登場したのが「コワーキングスペース」です。月会費を支払えば、電源も含めて、好きな時間にデスクを利用することができる便利なスペースです。ゆったりと開放的に作られている物件が多く、そのうえ、会議室や打ち合わせスペースは共用で使えるようになっています。たまにしか使わない会議室に、毎月固定の賃料を払うより、賢い選択かもしれませんね。現に、個人で活動するクリエーターや起業したての方たちが、業種を問わず、このスペースを利用して成果を上げているようです。

「コワーキング」が生んだ本当の価値とは。欧米では87%が共同プロジェクト経験有り

 しかし、「コワーキングスペース」が単なるレンタルスペース以上の価値を生み始めていることに注目してほしいと思います。 “共働ワークスタイル”の中に身を置くことで、それぞれの個人が培ってきた経験やノウハウが、今まで出会ったことのなかった人たちと互いに交流し“化学反応”を起こし始めているのです(@_@;) ここで出会ったプログラマーやデザイナーたちが数人集まり、スマホアプリの開発に成功する…などという例も少なくないようです。

 欧米ではすでにこうした動きが活発になっているようですが、2010年実施の「欧州コワーキング調査」では「他の利用者と一緒に新しいプロジェクト(事業)を始めた経験がある」と回答した人が87%を占めました。2004年にロンドンで生まれたコワーキングスペースの世界チェーンである「Hub(ハブ)」が、この4月(2012年4月)から日本にも上陸するようですから、今後こうした動きはますます活発になってくることが予想されますが、私はこれを「ネットのリアル化」現象のひとつであると見ています。ソーシャルメディアなどで、知らない人と上手に関係性を結ぶことに慣れた層が、リアルでも繋がり始めた…つまり、「コワーキングスペース」は、コミュニティの場としても機能しているということです。ネット界には「Linux」のように、不特定多数の人間がかかわって成功したシステム開発の事例などもありますが、それがリアルの世界でも起き始めているということでしょう。

「シェア」に向かう日本人の意識変化。社員寮も「シェアハウス」に生まれ変わると大人気!

 一方、住居スペースを併設した「シェアオフィス」物件も人気を呼んでいるようです。ひと昔前は、来日中の外国人たちが主に利用していた「シェアハウス」。やがて、都心に格安で住めるという利点もあって、そのスタイルは若者層に広がりました。企業が手放した社員寮などを「シェアハウス」に改装すると、たちまち借り手が付くといいます。今度はその流れがビジネス界にまで広がってきたということでしょうか。

 こうした流れを経費節減の一環や効率化と見る向きもありますが、その奥にある人々の意識変化にこそ、目を向けてほしいと思います。以前は「所有」に向かっていた意識が、確実に「共有(=シェア)」にシフトし始めているということです。もちろん、昨年の東日本大震災が我々に与えた衝撃も影響していると思いますが、「持たない暮らし」や「シンプルな暮らし」をよしとする意識、そして人との繋がりや絆こそに価値を置く意識…経営者はこうした人々の意識変化に、常に敏感でいてほしいと思います。なぜなら、「意識の変化=マーケットの変化」であることは間違いない事実だからです。人々が「共有(=シェア)」という意識を強く持ち始めた今、自社の提供する商品やサービスの価値を、どうお客様に届けるべきか……この事例を参考に、発想を拡げてみてください(@^^)/~~~

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