経営戦略 Vol.95 不便の影にチャンスあり!? LCCの乗客向けに「宅配クリーニング」サービス

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 格安航空会社(LCC)の登場で日本の航空事情が激変しつつありますが、そんな中、札幌市でクリーニング業を営む「ラントン」は、LCCの乗客向けの宅配クリーニングサービスを始めたようです。LCCは機内に持ち込める荷物のサイズや重量が制限されていますから、帰りにはお土産を手荷物にして着用した衣類を宅配する人が多いのではないかと考え、その衣類の洗濯を代行し、ご自宅まで届けるというサービスを思いついたわけです(*^^)v まさに、「不便の影チャンスあり!?」という典型的なモデルです。

北海道旅行の帰りには『北海道洗濯便』♪

 その昔から、ビジネスの世界では「変化はチャンス」と言われていますが、ご存じのように、格安航空会社(LCC)の登場以降、日本の航空事情は激変しています。北海道や沖縄まで◎千円で行けたりするわけですから、都心からの距離は、もはやビジネスのマイナス要因ではなくなっていくでしょう。こんな時代にはこれまでの既成概念を外し、柔軟な発想力を持った人だけが生き残っていけるものですが、札幌市にあるクリーニング会社の「ライトン」が始めたサービスも、かなりユニークです。

 その名も『北海道洗濯便』。北海道旅中に溜まった洗濯物を同社に送ると、クリーニングした上で自宅まで宅配してくれるというもので、今ならオープン記念価格で段ボール1箱分が全国一律(沖縄・離島を除く)2,980円。初回はホテルやコンビニから「着払い」で送るだけという手軽さで、さらにリピーターには、1人なら約1週間分入る専用ランドリーバックが渡されるので、もっと手軽に利用できるようになるようです!(^^)!

洗濯物を持ち帰るか、お土産を持ち帰るべきか…

 宅配クリーニング自体は、何も目新しいビジネスではありませんが、同社がこのサービスのメインターゲットとして「LCCの利用客」を狙っている点は、評価すべきでしょう。なぜなら、これが「変化」に目を付けたビジネスだからです。

スカイマークなどの従来型LCCでは、運賃以外に手荷物に手数料がかかることはほとんどありませんでしたが、ピーチやジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンといった新興LCCでは、預け手荷物には事前予約が必要で、国内線の場合は1,000円程度が別途必要となり、当日に預けるとなると2,000円程度かかるような料金体系になっているのです。初めて利用する人などは、予備知識のないまま空港カウンターで「えーっ!(@_@。) 」となる場合も多いようですが、そうなると「どうせ2,000円払うのなら、プラス1,000円で汚れた衣類をキレイに洗濯してご自宅までお届けしますよ」というサービスが、魅力的に映るというものです。同社のサービスは、空港で超過料金を請求されてからの利用も可能になっているので、「洗濯物を持ち帰るか、はたまた買ったお土産を持ち帰るか」となった場合、十分に勝てるモデルとなっているわけです。

「不便の解消」は商品開発の王道!

 さらにこのモデルが、お客様の「不便」を解消するという視点から発想されている点も見逃せません。「不便の解消」は商品開発の王道ですが、「LCCの手荷物制限」という不便さを、「旅行中に汚れた衣類がキレイになって自宅まで届く」という便利さに変換しているわけです。LCCと『北海道洗濯便』をセットで使えば、結果として旅行や出張の旅費が安く上がる場合も出てくるでしょう。
 そのうえ、お土産は帰ってすぐに配りたいものですが、旅行中に着た衣類は急いで必要なものありませんし、汚れた衣類をカバンに詰めるより、お土産を詰めて帰るほうが気分的にも楽しいに決まっていますよね(*^^)v そんな顧客感情まで加味している点もさすがです。クリーニングという“待ち”のビジネスを、積極的な提案型モデルにシフトチェンジしたこの発想は、他業界でも十分活かせるのではないでしょうか。ぜひワクワクしながら、発想を拡げてみてください(@^^)/~~~

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