経営戦略

石原 明 氏

あなたにもできる!小さな会社を大きくさせるための経営のヒントをお届けします。

>>経営戦略の相談を受け付けているアドバイザー一覧を見る  

Vol.53 短所がウリ!?  新「ワケあり」商品が売れてます。


景気低迷が続くなか、「ワケあり」をウリにした店や商品が注目を集めているのをご存じでしょうか? 「ワケあり」などと言うと、「規格外」のB級商品のようなイメージが強いですが、今はその範囲が「サービス」にまで広がっています。あの“ぐるなび”でも、難点を持つ飲食店が「ワケあり」明示して独自のクーポンを発行できるキャンペーンを始めました。これは発想を真逆に変えて「短所」を売っているのと同じこと。この発想には、我々も学ぶべき点がありそうです。

「ワケあり」や「はしっこ」が検索キーワードの上位に!

 少し前から、ヤフーやグーグルの検索ワードランキングに、たびたび登場する言葉があります。それが、「ワケあり」や「はしっこ」といったワードです。楽天市場でも、キズや不ぞろいなどの「ワケあり」商品や、食材の切れ端を集めた「はしっこ」商品などが売り上げを伸ばしており、その商品点数は2000点を超えるといいます。たとえば、チーズケーキの切れ端を袋詰めにした商品などはかなりの人気で、売り切れることも多いようですが、そのほかにも、バウムクーヘンやカステラなどのお菓子類、稲庭うどんやそうめんなどのめん類、ベーコンやハム・ソーセージなどなど……。味や価格に納得すれば「見た目」を気にしない消費者が激増しているのです。

 こうした流れは、食品ばかりではありません。生産過程で生じた消しゴムの切れ端、スポンジ、画用紙など、食品以外にも続々と「ワケあり」や「はしっこ」商品が登場しているのです。とても面白い現象ですよね。「格安」「激安」などのワードに加え、「ワケあり」や「はしっこ」は、検索ワードのランキングにも登場してきており、今やブームの様相を呈しています。

 私は世の中をどう見ればいいかを教える時に、必ず「世の中は自分のためにお金を出して実験してくれている」という感覚を身につけなさいと言いますが、この「ワケあり」ブームにも、まさにそれを地でいくような展開が起こりました。

ぐるなびの「ワケありクーポン」登場!


 これまで「メーカー」の専売特許だった「ワケあり」を、サービス業に導入したのが、あの“ぐるなび”です。昨年(2009年)末から年始にかけて、「夜景が見えない」「見習いがつくる」などの難点を持つ飲食店が「ワケあり」を明示して独自のクーポンを発行できるキャンペーンを始めました。たとえば「見習いバーテンダーがつくるカクテル各種 21時まで半額」や「暖房がききづらい個室でチョコレートフォンデュ食べ放題」「夜景が見えない席にグラスワインを半額で提供」など、これまで店側が積極的に伝えたがらなかったマイナスポイントを逆手にとって、「ワケありクーポン」を発行するという企画です。

 今どきの成熟した消費者は、バランス感覚に優れています。積極的にお金を使う分野と、「できるだけ安く」済ませたい分野を分けて、上手にお金を使っているのです。そんな彼らは、「見習いバーテンダーがつくるカクテル」といった、「ちょっと面白い」切り口にはすかさず反応します。「正規の料金を取られるのはちょっと……」と思っても、割引があるなら「試してみたい」と思う人は意外に多いもの。また、「見習いバーテンダーのお酒が飲める安いバーがあるらしいよ」なんて、友達を誘う人も現れるはずで、「ちょっと面白い」切り口は、人に行動を起こさせる原動力になるのです。まさに、進化した情報化社会の産物といえるでしょう。

「安い」だけではもう古い!?  人がモノを買う理由

 つまりこの時代、消費者はもう「安い」だけでは反応しないということです。「安さ」をウリにするなら、そこに「なぜ安いのか」という明確な情報を付加すること。さらにその理由が「ちょっと面白い」とか、「友達に言いたくなる」ようなものであることが肝心です。

 情報化社会では、自社の「短所」を隠す必要はありません。むしろ逆に「正直さ」や「誠実さ」を前面に出した情報提供をするべきなのです。なぜなら、インターネットという「調べて比べて選べる」ツールが登場したおかげで、消費者自らが商品やサービスをじっくり選ぶことができるから。

 「いいものだから売れる」とか「安ければ売れる」時代はとうに終わっています。経営者は、発想を変えなければいけません。消費者がとことん調べた末に選ぶ商品には、なんらかの「理由」が必要なのです。その理由がいつまでも「ワケあり」や「はしっこ」であるとは思いませんが、「買いたくなる理由」を明確に提示した商品やサービスに軍配が上がるのは、普遍の法則です。ビジネスで成功したければ、ぜひ、このあたりの感覚を上手に身につけてください (@^^)/~~~。



記事一覧

Vol.82 ホテル×通販!? 企業間コラボでマーケットを「共有」する
Vol.81 働き方が変わる!? 「コワーキング」人気に見る日本人の意識変化
Vol.80 人件費を下げて「体験を売る」ビジネスが人気。セルフサロン急増中!?
Vol.79 ひとり専用!? カラオケボックス進化系に注目
Vol.78 Facebook100万人いいね突破!ユニクロのネット戦略に学ぶ
Vol.77 顧客を見直せ!? 次世代の顧客を探るファミマの「大人向け」コンビニとは
Vol.76 今「お試しサービス」が大人気。消費行動の変化で新たなビジネスチャンス。着目せよ!
Vol.75 スタッフの“スペシャリスト化”が鍵!? 元気な居酒屋「塚田農場」の大成功の秘密
Vol.74 ゲームセンターにシニア!? リアルから発想するビジネスの強み
Vol.73 秋葉原で人気の「声優cafe」に学ぶ活躍のステージを作るという発想
Vol.72 顧客を巻き込め!モンテローザのレシピコンテスト
Vol.71 どう「敷居の高さ」を越えさせるのか。家事代行サービスの集客戦略に学ぶ
Vol.70 「Toka!!」や「プロボノ」という発想をビジネスに取り入れる
Vol.69 「節電ビジネス」で囲い込み。ヤマダ電機の秀逸な戦略
Vol.68 「方言」にトキメク人急増中!? 「方言」をマーケティングに活かす
Vol.67 英国発「ネット質屋」にデータベースビジネスのヒントを見た!
Vol.66 あの「リカちゃん」が同窓会マーケットに進出!? 名簿を活かしたビジネスに着目せよ
Vol.65 「農業ゲーム」がネットとリアルをつなぐ
Vol.64 素人写真が売れる!? コンテンツの価値を変えた「ストックフォト」
Vol.63 老舗の新戦略「あめや えいたろう」に学ぶ