経営を成功に導くIT Vol.16 知っておくべき新サービスSaaS。企業の救世主になるか?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
SaaSという キーワードを聞いたことはありますか?最近、IT業界では話題になっている言葉です。そのうちあなたの会社にも売り込まれるかもしれないこの言葉、ぜひ今 のうちによく知っておいてください。

SaaSとは

 SaaSは、“Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)”の略です。通常ソフトウェアといえばユーザーが購入し使用権を得て利用する形態ですが、SaaSの場 合、ベンダーがソフトウェアをユーザーに「サービス」として提供する形態になり、ユーザーは一定の使用料を定期的に支 払ってソフトウェアを活用します。

 SaaSによれば、ユーザーは初期投資を抑えながら高度なソフトウェアを利用できるようになり ます。また、気にいらない場合にはすぐに乗り換えることも可能になるため、導入検討の負担が軽くなることも特徴です。さらに、ソフトウェアを購入すれば資 産になるところをSaaSならば費用にできることから、ROAなどの経営指標が改善するとも言われています。

 SaaSには提供形 態によっていくつかの種類がありますが、特にオンデマンド型が注目されています。なぜなら、オンデマンド型ではソフトウェアをインターネット経由で利用し ますので、ユーザー側での運用保守負担がなく、システム要員を配置する必要がないからです。

 SaaSが話題に上がるようになって きたのは、ごく最近のことです。オフィスソフトやグループウェアから、基幹系であるERPやCRMまで、多くの種類のソフトウェアがSaaS化され、多数 の提供ベンダーが市場へ参入しています。

 

ASPと何が違うのか?

16-1 ここまでSaaSの特徴を聞いて、ASP(アプリケーション・サービスプロバイダー)と似ているなと感じた方も多いのではない でしょうか?まさにそのとおりです。ただし、SaaSはASPのよいところを残しながら、その欠点を 克服しうる形態になっています。

 ASPでは通常、提供される機能が決まっており、ユーザーはそれをそのまま利 用するしかありません。例えば、ASPのグループウェアでは、画面配置を変更したり表示項目を増やしたりなどすることはできませんよね。一方SaaSで は、ユーザーによる一定のカスタマイズが可能となっていて、データベースに項目追加できるなどの柔軟性を備えています。ベンダーによっては開発基盤そのも のを開放し、用意されているソフトウェアだけでなく、開発力があれば新たなシステムを自由に追加することもできるようにしているのです。

  またASPでは、ユーザー社内の業務システムと連携させることは通常困難です。例えば、ある企業が営業支援システムとしてASPを利用している場合、営業 支援システムに入力されている営業進捗データを活用して予実管理をしようにも、そのデータを社内システムにそのまま取り込むことは難しいのです。しかし SaaSの場合はこうしたデータの取り込みが容易になっており、サービスによってはユーザー社内のシステムとの連携を実現できるものもすでに存在します。

 

SaaSは「買い」なのか?

 しかしながら、おいしそうな話には大抵落とし穴が あるものです。新しいサービスを活用する時は、その安定度や提供スタイルが自社に本当に合ったものになっているのか、よく吟味する必要が あります。SaaSもまた、比較的新しいサービスであることに注意しなければなりません。

 SaaSの場 合は何が懸念されるでしょうか?まず、「セキュリティ」の問題があります。ASPでも同様ですが、ユーザーの社内デー タがベンダー側に預けられる形になりますから、そのデータの機密性が高まれば高まるほど、ベンダーがどのようなシステム運用を行ってデータを管理するの か、慎重に把握する必要があります。この点でユーザーに「目利き」の能力が求められるのです。

 次に懸念さ れるのが「信頼性」です。SaaSではASP同様、同じシステムないし基盤を多くのユーザーで共用する形になりますが、ASPではシス テム稼動に対する信頼性を裏付ける情報をあまり開示しない傾向があります。ひどいケースでは、システム障害が発生しても一切ユーザーに知らせない(または まともに監視していない)ような場合さえあります。SaaSベンダーからこの点について納得のいく説明があるかがポイントです。

  さらには、SaaSはあくまで「サービス契約」であることにも留意してください。 「サービス契約」ということはつまり、解約したらそれ以降一切利用できなくなるということです。特に基幹系システムとしてSaaSを利用する場合、サービ スは解約しても内部データだけは返してもらわなければなりません。こうした手続きがどうなるのかなど、契約条件には十分に留意したいものです。

  新しいサービスは、とかく「かゆいところまで手が届く」状態にはなっていないことが多いものです。ぜひ、要件を慎重に整理した上で、サービス業者の選定を してください。

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