経営を成功に導くIT Vol.15 CIOは必要か?ITを最大限に活かす企画の重要性

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
ITが世の中に浸 透するに従って、みなさんも一度くらいは“CIO”という言葉を目にしたことがあると思います。これは、特定の企業にしか関係のないキーワードなのでしょ うか…。

CIOとは?

 CIOとは、Chief Information Officerの略で、日本語にすると「最高情報責任者」とでもなるでしょうか。経営陣のなかで、経営方針と社内のIT活用の方向性を合わせ、効率的な IT投資とシステム運営に責任を持つ役員のことです。簡単に言えば、「経営と社内ITシステムの橋渡し」の役目を担っ ています。

 また、ITシステムの導入には多くの場合業務改革を伴うことから、最近ではCIOをChief Innovation Officer(改革担当役員)の略と解釈する動きもあります。15-1

 CIOの歴史はそれほど長いわけではありません。最近は日本でも大企業が設置するケースが増えていますが、それ でも(本来の意味での)CIOを設置しているのは、大企業のうちの30%程度という話もあります。また企業によっては「CIO=情報システム部長」と捉え ているケースも多数あり、この場合、CIOは経営の意思決定に影響をおよぼす権限はないのが通常です。

 

 

CIOの仕事

 企業によってCIOの仕事内容はそれぞれですが、もっとも根本的なもの をまとめると次のようになります。ここでは、ある製品販売業の企業をイメージしながら説明してみましょう。

 CIOは通常、役員会のメン バーとして会社の経営方針に関わっています。普段から経営者ともよく話をし、社内のIT課題を説明しながら、経営者がどうしたいのかをよく理解するように 努めています。

 そんななか、この会社では中期計画として販売のアフターサービスを充実させる方針を打ち出すことになりました。そこで CIOは、計画するアフターサービスの内容や現状の課題を踏まえ、どのようにITを活用すれば効果が上がるか、組織や業務はどうあるべきか、などを企画し ます。例えばコールセンターの顧客対応に課題があるなら、その課題を解決するために顧客管理システムの充実などを考えることになるでしょう。さまざまなオ プションのなかから、優先課題を解決しつつ、投資効果が高く、かつ使いこなせるように方針を検討します。もちろん、ITを活用した新たなビジネス領域を見 出して提案することもあります。

 経営に紐づくIT戦略が決まれば、次はシステムを具体的に構想する段階になります。これ以降、CIOは 現場の責任者としてシステム担当者を統括します。

 今回は、顧客情報と顧客の購買履歴、製品ごとのトラブル情報や取扱情報などと連動す る、新たなデータベースシステムを導入して、顧客の問題を迅速に解決するという方針をとりました。CIOは、システムが導入された後に、その効果が実際に 現れているかを評価する責任を持ち、その際にはIT戦略を立てる段階で考えておいた達成目標と比較して評価を行います。経営陣はその評価を基に話し合い、 改善方針や今後の対応を検討して、問題があれば対応策を検討して指示します。
 

CIOが いないとどうなるか?

15-2
 それではCIOの仕事概要を理解したうえで、「CIOは必要なのか?」を考えてみましょう。CIOが いないということは、上記の仕事をする人がいない、ということです。

 効果の出るITシステムというのは、経営方針か ら企画、開発、運用までのプロセスが論理的に一貫しています。しかし、もしCIOがいないと、これらの要素のうち「企画」の部分がすっぽ り抜け落ちることになります。

 通常、経営方針の検討は「上流」と呼ばれ、運用のほうへ流れるに従って「下流」になり ますが、河川でも上流が汚染されると影響が大きいように、ITでも上流部分でつまずくと下流に大きな影響をもたらします。従って、「企画」がないというこ とは、どれだけ立派な経営方針を立てても無駄なシステムをつくってしまう危険性が高くなるということです。

 つまり、本当に大 事なのは「IT企画をすること」と言えます。CIOでなくても経営にフィットしたIT企画をする人材がいるならそれでもいいのですが、 より明確に役割をもたせる意味でもCIOというポジションは重要なのです。

 ですから、CIOを置く余裕がない企業でも、ITを最大限に 活用したいなら社長自身がCIOとなり、自らが立てた経営戦略と導入したいITがしっかり結びつくように配慮すべきなのです。

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める