経営を成功に導くIT Vol.13 情報共有成功のヒントは「社風」と「アメとムチ」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
企業が競争力を高 めるために、社内情報を共有・一元化して属人性をなくしていくことは大変重要です。ただし、単にデータベースを導入するだけでは「使われないシステム」に なる可能性大なのです…

 

生かされなかった情報共有システム

  ある設備保守会社のコールセンターにおける事例です。このコールセンターでは顧客との設備保守契約に基づき、顧客からの保守支援要請やクレームを受け付け ていました。こういった業務では、顧客の声を組織的に蓄積管理し把握することが品質向上のためにも重要です。そこで、その当時付き合いのあったベンダーか ら話題に上っていた顧客情報管理システムを導入することにしました。しかし、システム導入はパッケージをベースにベンダーに一任してしまいました。

  その後、導入そのものは割にスムーズに完了したのですが、情報があまりうまく入力されない状況が続きました。顧客の声の入力業務を部署内で十分にすり合わ せしていなかったため、入力する人としない人の差が生じたのです。その上、それらの入力情報をどうやって分析し活用するかもあらかじめ決めていませんでした。

  そんなある日、ある重要顧客の苦情がヘビークレーム化し、部署はその対応に追われることになりました。ようやく解決したとき、部門の管理者はふと思いつい て顧客情報管理システムを検索してみたところ、他の顧客からも同様の苦情が、ずいぶん前から多数登録されていることを発見したのでした。

 

会社のカラーに合わせた情報共有を

 顧客の声に限らず、営業情報・購買履歴・設 備障害情報など、放っておけば属人的に管理されやすい情報を全社レベルで共有し、一元的に管理することは、企業の競争力を向上させる上で大変有効な手段で す。多くの企業が、さまざまな形で情報共有を組織的に実施しています。

 ただし、情報共有システムは意外に曲者で す。単に情報が蓄積できればいいと安易に考えて導入すると、途端に使われないシステムになります。実は、うまい情報共有のためには、自社 のスタイルを十分に生かした共有の仕組みをしっかり「構想」できているかがカギなのです。導入を決断する前に、「なぜ情報共有が必要な のか?」「共有した情報を何に活用するのか?」など根本的な目的を明確にして、共有の仕方および共有情報の使われ方をシミュレーションしてみることが重要 なのです。

 例えば、こんなケースを想像してみましょう。ある電子機器メーカーが自社製品の修理履歴に関する情報を組織で共有する場合で す。この修理履歴から「パソコン」に関する情報を検索して取り出したいとしたらどうしますか?検索というとGoogleのような単語検索の手法をすぐに思 いつきますが、その場合、「パソコン」と入力して検索しても類語である「PC」「コンピュータ」「デスクトップ」などの言葉で登録されている情報は出力さ れないかもしれません。それでは困るのであれば、あらかじめ標準的なキーワードを定めるようにし、ディレクトリ検索のようにしたほうが便利かもしれませんよね。

  簡単な例ですが、活用シーンが具体的に想定できればシステムの要件がはっきりしてくるので、選択を誤ることは少なくなるはずです。

 

 「アメとムチ」を上手に利用

 さらにもうひとつ、情報共有を成功させるポイン トは、いかに継続的に情報入力と更新を行うかにあります。つまり、社員が積極的に情報入力する仕組みを考えシステムに 組み込むことが重要なのです。

 これには、いわゆる「アメとムチ」を効果的に含ませることが有効で す。ここでいう「ムチ」とは、業務ルールとして義務化することです。企業によっては業績評価と連動させているケースもあります。一方、「アメ」の施策はさ まざまですが、「入力者にやる気を起こさせる仕組み」を考えられるかがカギです。例えば、役に立った情報に対して感謝の度合いをポイント化する、後々の業 務が楽になるようにする、何らかのインセンティブを設ける、などです。

 このような仕組みも、企業のカラーによって合うもの合わないもの がありますから、組織内で十分協議しながら、継続するのに相応しいものを決めていきます。ぜひ、ユニークなアイディア を考え出したいものです。

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