- 目次 -
優れた構想を練るには、最新の情報が不可欠
ITシステムの構想をうまく練るには、やはり知識と経験が必要です。このうち「経験」は場数を踏むしかありませんが、「知識」のほうは普段から情報収集を 行う努力がモノを言います。
もちろん、経営者がITの専門家になる必要はまったくありません。しかし、経営者もITの構想立案に関わる 以上、システム企画の良し悪しを「見抜く」力が必要になりますから、やはりある程度以上の知識と情報収集が必要になります。
経営者が知 るべきITの情報とはどんなものでしょうか?端的に言ってしまえば「ITの本質」ということになります。つまり、細かい技術事項よりも、ITで何ができる のか、ITは何が不得意なのか、どのくらいコストがかかるのか、どういう方向で発展しているのか、ITで陥りやすい罠は何か、などなどです。
ITに対する個人的な好き嫌いはあると思いますが、よりよいITシステム企画には正確かつ最新のIT情報が不可欠です。またITの進歩は非常に早いですの で、情報収集はぜひ普段から行ってください。
ITの最新情報を効率よく集 める秘訣
では、どんなふうに情報収集すれば効果的でしょうか?
経営者の知るべきIT情報は、ほとんど 新聞や雑誌に載っているレベルのものです。大抵の方は普段から読まれているでしょうから、特に変わったことを始める必要はありません。
しかし、単に記事を読むだけでは、なかなか頭に定着しないものですよね。そんなときに特に注目して欲しいのが、新聞や雑誌のIT関連記事の周辺によくある 「広告企画」です。これは裏を返せばITベンダーなどの広告ではあるのですが、「情報」という観点で見ると、そのトピックに関する最新の情報が体系的にう まくまとめられているのです。
もちろん、掲載されているITベンダーに興味が湧くこともあると思いますが、その「広告的」部分を割り引 いても有用な内容になっていることが多いので、参考になるはずです。
ちなみに筆者は、「広告企画」ではありませんが、企業のIT事例 ニュースの簡単な分析などをまとめた無料メルマガを 毎週発行していますので、よかったら購読してみてください。
積極的に情報 収集するには
さて、上記は受動的に情報収集するケースでしたが、ITシステムの構想段階では、より積極的に情報を収集し たい場合もありますよね。
そんな場合は専門業者に積極的に質問を行うことになるのですが、このときにぜひ守りたい注意点があります。そ れは、次のようなことです。
・ 「構想」がまったく白紙の状態で、専門業者に質問を行わない。
・ 質問する業者に対して、発注を前提としていないことをはっきりと告げる。
・ 複数の業者へ同じ質問をする。
・ 文書を作成して質問事項を提示し、業者からも文書で回答をもらう。
要するに、「単なる技術情報の収集」であることを明確にするというこ とです。それから、これまでに何度かこのコラムでお話をしている「いきなりベンダーと話をしない」原則も重要です。「具体的にこんなことがしたいのだが、 適切なIT技術を御社は持っているか?」というふうに質問するイメージです。
ちなみに、こういった積極的な情報収集で、専門業者へ提示 する質問事項をまとめた文書のことを、IT業界ではよくRFI(Request For Information:情報提供依頼書)と呼んでいます。