Vol.6 技術者の起業家が陥りやすいパターンとは

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
開業9カ月間の売 上はたったの20万円。しかし、それから3年の苦労の末、ついに年商1億が射程圏内に!ネット配信(ストリーミング)の映像技術者の”ブレイクスルー”の 秘密に迫ります。

今回、ご紹介するのは、福岡で”映像ソリューション”を手がける株式会社片岡企画の片 岡 高志(カタオカ カタシ)社長です。片岡さんは、主にネットでの映像配信や携帯用動画SNSなどを提供しておられます。では、早速ですが、ドリームゲートならではの起業 前・起業後の話までを聞いてみましょう。

 

片 岡企画の立ち上げ

 <中前> なぜ起業しようと思ったのですか?

 <片岡> 小さいころから、「自分で会社を興してみたいなー」と漠然と考えていました。実際に「起業しよう!」と決意したのは、19歳の時でした。当時、ゲームのバ グ取り専門の会社を立ち上げ成功していた学生起業家のセミナーを受けて「お金がなくても、アイデアと技術があれば社長になれる」という話を聞き、強く感銘 を受けました。それから起業しようと強く思うようになりました。

 <中前> 起業するため にどんな準備をしましたか?

 <片岡> 会社をつくろう!と決めていたのですが、具体的に何をすればいいのかわかりませんでしたので、まず就職先は「絶対に社長の仕事が見える職場」だと思い、 40名ほどの設計事務所に入りました。とにかく技術を身につけること。そして、社長の仕事をいつも意識していました。そんな折、直属の上司が、一緒に会社 をつくらないか?と誘ってくださいました。不安もありましたが、「ぜひ、やらせてください!」ということで、2人で会社運営を始めました。結局、この会社 には7年ほどお世話になり、その間いろんなことを学びました。

 ただ、いつも、「いつかは自分の会社をつくりたい!」と思っていましたし、 そのことを先輩である社長にはいつも伝えていました。しかし、何で起業するかは特に定っていませんでした。退社する1年前に、”映像のストリーミング”の 仕事し、その時に映像ビジネスに大きな可能性を感じました。その当時は、ネットで映像を流すということはほとんど行われていなくて、あっても家庭用のホー ムビデオでとった映像をただ流すという感じでしかありませんでした。この映像ビジネスとの出合いが私の起業精神に火をつけ、1年後、片岡企画を立ち上げま した。

 

9カ月でとれ た仕事はたったの20万円

 <中前> なるほど、映 像ビジネスに大きな可能性を感じて起業したんですね。立ち上げ当初はどんな感じだったんですか?

 <片岡> 映像ビジネスにものすごい可能性を感じ、正直、少し営業すればすぐに売れるだろうと思っていました。しかし、まったく売れませんでした。はじめは、知り合 いの紹介に頼っての営業でしたが、そのうち飛び込み営業も行うようになりました。しかし、結果は惨敗。そもそも、どこにいっても映像の価値をわかってもら えませんでした。当時は、パソコンで映像を扱えることすら、あまり知られていませんでした。

 そんな訳で、最初の9カ月は本当に空回りしま した。営業するところのほとんどで、門前払いを受け、9カ月営業してとれた仕事は、たったの20万円でした。幸い蓄えが少しあったので何とかなりました が、正直かなりあせりました。

 <中前> それでどうなったんですか?
  <片岡> はい、地道な活動を続けてちょうど1年たったころから、徐々に案件が舞い込むようになりました。映像のことなら 自分に相談してもらえるようと営業していたのが功を奏したようです。お客様から映像に関するご相談があった時は、すごくうれしかったです。そんなことが続 き、ようやく軌道に乗り始めました。

 <中前> なるほど、それで順調な成長をされていったんですね。

 <片岡> いえ、そうでもなかったんです。何とか経営が回り始めたとき、先輩起業家と道端でお会いすることがあって、何気ない会話から、自分の方向性が間違っている と認識させられたのです。

 

先輩起業家からの忠告で見えたこと

  <中前> それはどんな会話だったんですか?

 <片岡 > 先 輩起業家に「片岡くん、最近どう?」って聞かれたので、自信たっぷりに「おかげ様で順調です」と答えました。次に、「それって片岡さんがいないと仕事が回 らない?」って聞き返されました。それで、それも自信たっぷりに「はい、もちろん僕がいないとできません」と答えました。すると、「それは危険信号だ な~」と忠告されました。その先輩起業家曰く、「経営者は現場に出るのも大切だか、業務に専念してしまうと経営的な仕事が疎かになり、今はよくても先が危 ない」というのことでした。

 確かにその当時の私は、企画・製作・研修・営業のさまざまな業務を日々こなすことで精一杯で、経営的な視点で物事 は考えられていなかったように思います。ですので、仕事の山谷が激しいのですが、仕事が忙しいと次の仕事の営業ができず、今の仕事が終われば、次の仕事ま でに空白が生じていました。それで、私は、これまでしていた仕事をもう一度見直し、”自分がすべき仕事”と”他の人に任せられる仕事”を分け、経営者とし て考えられる時間をつくり、中長期のビジョンを考えられるように”しくみ”を変えました。それはかなり大変なことでしたが、今の弊社があるのは、あの転換 からだと思います。

 <中前> その先輩起業家の質問は奥がふかったんですね。技術者起業家によくあるパターンですが、自分の仕事に専念していれば会社は回る、という考えはかなり危険で すね。

 経営には、もっと現実的な視点で戦略を練り、戦術を実践する必要があり、そのために社長にしかできない仕事を業務にいれると、戦略 戦術を考えたり、実行に移せる時間がなくなってしまうんですよね。

 <片岡> 本当にそう ですね。早く気づいてよかったです。

 

次回は、その後どのようにして売り上げが10倍になったのかをお伝えします。

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める