Vol.5 「トラブル」は処理してはいけない

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

相手の「期待」に着目せよ

 トラブル対応においては、なによりも企業の「姿勢」がその結果を大きく左右します。

 トラブルとは、こちらの想定とおりに物事が進まなくなった状態を指しますが、これは相手にとっても同じことがいえます。それがお客様であれ取引先であれ、こちらが相手の期待を裏切るような行動をとれば、その時点で「トラブル」となるのです。相手の思惑にも配慮しなければ、トラブルは防げませんし、解決もできません。

 特にお客様に対しては、どこまでのサービスや品質レベルを期待しているのかを把握、推測した上で、「期待以上の対応」を目指すべきです。また、万一期待を裏切るような事態になっても、誠心誠意の謝罪と原因究明、改善策の提示を行うことで、お客様の不満や不信感の解消に努めなければなりません。

 「トラブル対応」とは、双方の思惑のズレを発見し、修正することで相手の納得を得るための作業なのです。ただ単に頭を下げればいいというものではありません。

 また、一方的にトラブルを「処理」しようとすれば、かえってトラブルを長期化させることになりかねません。

 

トラブル対応の失敗例

 以下にご紹介するのは、ある有名百貨店の売り場で、店員のぞんざいな対応に腹を立てて苦情を申し立てたお客様と、そのお客様宅へお詫びにいった売り場責任者との実際のやりとりです。途中までは、よかったんですけどね…。

責任者「このたびは、私どものスタッフの至らぬ対応によりましてお客様には大変ご迷惑をおかけいたしました。心よりお詫び申し上げます」

お客様「おたくのような有名百貨店で今回のような対応を受けるとは思っていなかったので、とても驚きました。この状況を放置するとおたくのためにもならないと思って、今回はあえて苦言を申し上げたんですよ」

責任者「申し訳ございません。今後、スタッフ教育にはさらに力を入れてまいります。どうかお許しください」

お客様「わかりました。今回のことはこれで終わりにしましょう。改善を期待しています」

責任者「ありがとうございます!」(ここで責任者、ほっと気を抜く)

お客様「しかし、こうして責任者の方がわざわざ面会に来られるあたり、さすがは有名百貨店ですね」

責任者「いやぁ、恐縮です。実は、私どもマネジャーは、このようなクレーム処理が主な仕事といってもいいくらいでして…」

お客様「えっ、じゃあ私の苦言は『処理』の対象っていうこと!?」

責任者「あっ、いえ、その…」

 

 

 

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