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融資の心得 : 創業後の追加融資の受け方について


創業融資を受け、無事に創業はしたものの、
「思いのほか設備に資金がかかってしまった!」
「思い通りの売上確保ができず、運転資金が足りなくなってしまった!」
という話をよく聞きます。
創業時にどんなに綿密な資金計画を立てたとしても、それはあくまで計画(予想)であって、実際にその通りになるとは限らないものです。


2011年度版の『中小企業白書』の起業時及び起業後の課題調査※1によると、“資金調達”が起業時では1番目、起業後では2番目の課題として挙げられているなど、いかに資金調達が重要な課題かがわかります。
よく経営資源として、“人、モノ、金”の3つが揃わなければ、企業は成り立たないと言われておりますが、まずは資金を確保する事が重要なのです。お金は企業の血液であり、その巡りが悪くなると一気に経営は苦しくなります。
そこで大事になるのは、余裕をもった資金計画と困った時の資金調達先の目途です。
ちなみに同白書では、起業資金の調達先の割合を次のように示しています。

 ①自己資金…77.8%
 ②配偶者や親族からの出資金や借入金…25.1%
 ③公的機関・政府系金融機関の助成金・借入金…17.0%
 ④友人や知人からの出資金や借入金…12.0%
 ⑤地方銀行からの借入金…12.0%
 ⑥事業に賛同してくれた個人・法人からの出資金や借入金…11.9%
 ⑦信用金庫・信用組合からの借入金…8.3%
 ⑧以前の勤務先からの出資金や借入金…6.6%
 ⑨都市銀行からの借入金…4.5%
 ⑩地方公共団体からの助成金・借入金…3.2%
 (注)複数回答であるため、合計は必ずしも100%にならない。

このように資金調達先の割合としては、「自己資金」、「配偶者や親族からの出資金や借入金」、「友人や知人からの出資金や借入金」が上位を占めており、いわゆる3F(Founder,Family,Friends)からの調達が多く、また「公的機関・政府系金融機関の助成金・借入金」が2割を占めていることがわかります。
以上を参考に、資金を確保するために、予めどこから調達をするのか見当をつけておくようにしましょう。

 

創業後の追加融資の可能性

創業後、少し時期を経過した方から、
「創業時に既に融資を受けているが、資金に余裕がなくなってきたので追加融資を受けたい。」
というご質問をよく頂きます。
創業融資は、一般的に日本政策金融公庫や地方自治体が設けている制度融資が広く活用されていますが、これらの創業融資を一度利用すると、すぐに追加融資を受けることは難しくなると考えた方がいいでしょう。

実は創業後の追加融資は、創業時の融資よりも難しいのです。
創業時の融資は、過去の実績がない状況で行われる融資なので、ある意味、書面上の創業計画書(事業計画書)を担保に融資を受けることが可能です。
それに対して創業後は、事業の実績があるため、融資サイドとしてはその事業の実績を重要視します。

例えば、
 ・売上の伸びは順調であるのか
 ・予定通り利益を計上し、資金繰りは安定しているか
などがチェックされるため、仮に創業後の売上の推移が予想値よりも下回り、利益状況も芳しくないとするならば、創業後の追加融資は非常に困難なものとなるでしょう。
また、少なくとも創業後1期目の決算すら迎えていない場合においては、融資サイドとしても決算書という客観的な実績を確認できないため、どうしても融資には慎重にならざるを得ないものです。

従って、創業時に融資を受けるに当たっては、当面は追加融資を受けるのは難しいという前提で創業計画書(事業計画書)を立てることが大切です。
計画を立てる際は、
 1.売上が順調に推移した場合のパターン
 2.1をベースに売上が8割のパターン(予想値より2割ダウン)
 3.1をベースに売上が5割のパターン(予想値より5割ダウン)
など3種類程度を立案し、事業の立上げが順調にいかない場合も想定して考えた方がいいでしょう。
特に、創業時の資金計画を考えるに当たって、設備資金については入念に考えていても、運転資金については疎かに考えている創業者が非常に多いです。

2010年度の『新規開業実態調査(日本政策金融公庫総合研究所)』では、創業して1年経過後の経営状況を分析していますが、目標売上の達成状況は32.9%が達成(67.1%が未達成)、創業後の採算状況は60.0%が黒字基調(40.0%が赤字基調)であり、創業しても平均8.1ヵ月は赤字という結果が出ております。
創業時には十分に余裕資金を確保してスタートすることが、事業継続のポイントとなるのです。

 

創業後の融資獲得事例

では、創業融資は必ず創業時でないと借りられないのか、また、無理してでも創業時に多く借りた方が得策なのかというと、決してそうではありません。

例えば日本政策金融公庫の“新規開業資金”は、新たに事業を始める方の他にも、事業開始後概ね5年以内の方を対象としておりますし、一般的な地方自治体の創業者向けの融資制度でも事業開始後税務申告を2期終えてない方を対象としている場合が多いです。
創業時に無理に借りなくても、創業後において創業融資を受けられる可能性は十分にあるのです。
よって、創業時に特段の資金需要がないのに無理やり借りる必要はありません。逆に資金の浪費につながり、何より利息の分だけは確実に損することになります。

私が支援させていただいた企業でも、創業時の資金はすべて自己資金で賄ったが、創業後1年経過後の店舗移転に伴っての資金を民間金融機関の創業者向けの融資で調達された方が居られます。この方の融資獲得のポイントは、右肩上がりの売上の計上にあったと思われます。

また、別の方は創業時の設備資金として日本政策金融公庫で融資を受けて、半年後に運転資金として保証協会を通した融資を民間の金融機関に申し込み、追加融資を獲得されました。この方の場合は、業績の順調な推移と、事業計画が明確であり、今後の業績の見通しにつき説明ができたことがポイントになったのでしょう。
 

まとめ

繰り返しになりますが、
 ・創業時は事業の“見込み”で借りることができる
 ・創業後は事業の“実績”で借りることになる
という点を肝に銘じ、資金計画を綿密に練る事が重要なのです。
特に無担保の場合、運転資金として融資が受けられる金額は、一般的に月商の3ヵ月程度ですので、ある程度の売上高を計上できていない企業にとっては融資を受けることが難しい状況となります。

創業後に融資を受けることのできる企業の特徴としては、
 1.業績がおおむね順調に推移している
 2.一定量の月商を確保している
 3.今後の業績の見通しが明るい
 4.事業計画が明確でわかり易い
という点が挙げられるでしょう。

結局は、健全な企業として当たり前の目標である増収・増益を実績として示すことができるのならば、創業後の追加融資を受けることは十分可能であるということなのです。


※1 「起業に関する実態調査」(2010年12月、㈱帝国データバンク)を参照



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この記事の執筆者

 

福島 重典 氏(京都御池税理士法人 代表税理士)

作者の紹介(PR):中小企業・ベンチャー企業の財務・税務サポート業務を行うとともに、ドリームゲートアドバイザーとして、起業家の良きブレインを目指すべく創業支援を展開。各地商工会議所などでのセミナー講師としても活躍中。

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